気楽に呪え【呪術廻戦】

25.閻魔と地獄 ページ25

＿

『ﾊｧ､ﾊｧ､ゔ、、ぉぇ゛っ、』

｢やっとか｣
＿


酷く恐ろしい夢を見た

視覚.聴覚.嗅覚.味覚.触覚の全てが悲鳴をあげるような、そんな夢



異形の鬼と目がくり抜かれたように真っ黒な白い肌の廃人が周りに群がり

耳に残る太くてひくい悲痛な叫び声

鼻の奥にまで劈くような吐き気を催す異臭

その異臭のせいで少しでも口で呼吸をすれば腐り始めた吐瀉物を口に入れたような味がして、

空気が悪すぎて体にベトベトと何かがまとわりつくような不快感と倦怠感



五感全てに苦痛を与える夢から覚めたAの枕元には現.閻魔家当主である閻魔千鬼(せんき)が胡座をかいていた




『う゛ぁ、ぇ゛』

｢汚ぇな吐くなよ｣

｢がんばる゛｣




千鬼は嘔吐き苦しむAに構わず閻魔家の相伝術式について説明した



｢お前ら双子は例外中の例外だ、いや千隼が例外なのか｣



・

閻魔家の相伝術式は3つある。
そのうちの1つは3つの術式の中で唯一地獄の力を司る【奈落(ならか)呪法】

この術式は他の2つの相伝術式とは違い1世代に1人にしか現れない特別な術式であり、この術式を持って生まれた者がその時代の閻魔の役割を担い、閻魔家を継ぐ決まり

・


｢だったはずなんだがなァ、｣



閻魔は1世代に1人、

3歳で地獄の力を使えるようになった千隼がこの時代の閻魔であり次代当主だと決まったようなものだった。

というのに何故かその2年後に双子の姉であるAも【奈落】を自覚した



｢よく聞け、お前は閻魔の当主にはなれねェ｣

『千隼゛？』

｢あァ。順当に行けば【奈落】を受け継いだお前が当主だ、けど運が悪かったな。お前の片割れはガチの天才だ｣




・

＿閻魔は地獄に落ちると決まったモノに罰を下す

＿＿だが千隼は地獄と決まるよりも前の審判、六道を決めることができる

・



｢あいつは地獄の力の他に天道.人間道.畜生道.餓鬼道の力を使える。閻魔の役割だけじゃねェ、十王として審判できる力を得た｣




長く続く閻魔の歴史にはなかった異端の能力

閻魔の力を超えた力が閻魔の子に現れたのだ




｢まぁ今は千隼の話はいいか、んじゃ今から言うこと全部理解しろよ｣

『がんばる』



ちなみに、Aはこれまでの話を1mm程度しか理解できていない。



・


・



もう幸せな夢は見れないと思え、お前はこれから毎晩地獄に訪れ地獄の力を会得するための代価を支払うことになる

地獄がタダで力を貸すと思うなよ？

地獄は大体136種類、最短で136日最長、は考えるだけ無駄だな

お前は力を得るために地獄に堕ちるんだ、閻魔A

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