○ YDKとは ページ22
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今年の梅雨は例年と違ってあまり雨が降らなかった。ニュースキャスターが梅雨入りを忙しなく知らせていても、いつも通りの頻度でしか雨が降っていなかった。降っていたとしても量はそんなに多くないし。このままだと水不足に陥る地域が出てきそうなんだって。
現実逃避をするようにカラリと晴れた空を仰ぎながら 今日やっていたニュースの内容を思い出していた。依然 雨はほとんど降らないまま梅雨は明けてしまった。一年に一度のお仕事なのに、あんまり降れなかったんだ。ちょっと可哀想。
「で?なんて?」
汗で張りつきそうになったブラウスを手で扇ぎながら風を送る。夏に近付いてきたなあ、なんて思うくらいには気温が高くなってきた。暑い。
屋上にはいつものメンバー。だけど宮侑は真剣な様子で うちを見ていた。
「これで何回目やねん。伊東 聞く気ないやろ」
「治、黙ってなさい!!侑は真剣なんだから!」
「いや 角名も黙れ」
「俺が!期末テストで全教科七十点以上とれたら夏休みの間マネージャーやって!!」
「…なんで うちなん」
「頼めんのがAしかおらんからに決まっとるやん!」
「そんなん宮侑が女子にマネージャーやって〜って声かけたら済む話やん。みんなやりたがるで」
「そんなん知っとる!!」
事実やけど本人が肯定したらむっちゃイラつく。
角名たちも うちと同じようで、青筋を立てて黒い笑みを浮かべていた。すると、銀くんがスス、と寄ってきて うちに耳打ちをした。
「侑は言い出したら頑として聞かへん。それで俺らは結構振り回されとんねん。…でも、俺としても伊東さんがマネージャーやってくれたら嬉しい」
「銀くんに言われたら弱いんやけど…宮侑の普段の成績ってどれくらいなん?」
「……赤点まみれ」
「はあ!?」
突然大きな声を出したからか、銀くんがピャッ、と飛び上がる。ごめん、銀くん。
それにしても赤点って!!うちの学校の赤点は四十点未満やから少し厳しめなんやろうけど!そこから七十点以上って到底 無理やろ!
「宮侑 ほんまに七十点以上とれるん!?」
「俺 YDKやからな!!」
「やっても出来ひん子か!」
「ちゃうわ!!」
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三谷(プロフ) - 湯華さん» わー!笑っていただけて光栄です!更新頑張らせていただきます◎コメントありがとうございました! (2018年10月8日 17時) (レス) id: e5d6d01a77 (このIDを非表示/違反報告)
三谷(プロフ) - 湯さん» いえいえー!むしろ更新を待ってくださる方がいると分かって安心しています…!拙作ではありますがこれからもよろしくお願いします! (2018年10月8日 17時) (レス) id: e5d6d01a77 (このIDを非表示/違反報告)
湯華 - やっても出来ひん子に笑ってしまいました笑笑 更新ガンバです。待ってます!l (2018年9月30日 1時) (レス) id: 48b626f6e7 (このIDを非表示/違反報告)
湯 - すいません!配慮が足りませんでしたね!更新ありがとうございます!いつまででも待ってますので安心してください! (2018年9月25日 4時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
三谷(プロフ) - 湯さん» ひゃーー!!更新遅くなってしまいすみません汗 何ぶん受験生なもので…少しでもご理解頂けたら嬉しいです* 待っていてくださっていてありがとうございます◎ (2018年9月22日 16時) (レス) id: e5d6d01a77 (このIDを非表示/違反報告)
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