短編2 (ページ10)

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またね 🌌 ページ10

🌌

俺たちの別れの挨拶はいつも決まっていた

友達だった時も恋人になってからもそれは変わらなかった

ある日は電車のホームでその言葉を交わした。名残惜しさを胸の奥に押し込めて、俺は電車に乗った君を見た。電車の窓越しに見た君も寂しそうだった

ある日は君とのデートが終わってから交わした。その後に君が「本当はまだ一緒に居たい」と言うもんだから、嬉しくなって君を家まで送り届けた。「来てもらうのは申し訳ないから大丈夫！」と焦っている表情も声色も愛おしかった。感情豊かな君と居るとどんな時も元気になれたし、幸せだった。

俺は君を笑顔にしたい一心だった

そして今、目の前にいる君を見る。そこには笑顔がなくて無表情でありながら、瞳の奥が悲しそうだった

「別れよう」

そう言われて、俺はなんて返事をしたっけ

その後サヨナラをする時に、君はいつもの言葉を言ってはくれなかった

一人で歩く夜道はいつもより長く感じた

自室のベットに座りゆっくりと目を閉じると、あの日の君が「またね」と笑っていた