花を手向ける 🌌 ページ45
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「どんなに余裕がなくても、お花を買うことだけはやめれないんだよね」
そう言って恥ずかしそうに笑っていた君を、俺は尊敬していた。衣食住がちゃんとあれば、あとはなんだって良いんじゃないかな?そう伝えたことがあった
「ありがとう、しょうた。優しいね」
花束のラッピングペーパーが風に揺られてカサカサと音を立てて、花びらが一枚道の端へと落ちていった。ピンクの花びらが落ちていくスピードはとてもゆっくりで、落ちた地面のコンクリートの灰色とのコントラストが美しかった
君の優しい表情を見ていると、心が和らいだ。花束を抱えて幸せそうに笑う君は綺麗だった。まるで花みたい人だなと思った
それから時が過ぎて、花が散って
季節が移り変わって俺は花束をひとつ買った
花屋さんに行くのは初めてのことで、店員さんの説明を聞くことでいっぱいいっぱいだった。花の栄養剤をもらったが、使いこなせるか自信がなかったので後でスマホで詳しく調べてみようと思う
君の写真に花を手向ける
「お花、直接渡させてよ。」
そう言って目を閉じた
柔らかな花の香りが頬を撫でた
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作者名:ゆぢ | 作成日時:2023年12月21日 16時