帰りの電車 🦊 ページ44
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飲み会の帰りに電車に揺られながらスマホをいじる。ラッキーなことに座れた端っこの席で、SNSをボヤっと眺めた。今日の飲み会は終電前に終わる軽めの内容の飲み会で、楽しくお酒を飲むことができて良かった
ほかほかとした気持ちになりながらスマホを操作していると、とある人からのメッセージが一件届く。そこには友人であるAの文字があった。彼女は先程まで一緒に飲んでいた内の一人である
A今日は飲み会ありがとうー!ごんのおかげでめっちゃ楽しかった
A帰り道気をつけてね〜
マメだなぁ、と思いつつメッセージを返信する
こちらこそありがとう!
Aも帰り道気をつけてね
そう打って送るとすぐに既読がつき、向こうから見たこともない変なスタンプが送られてくる。なんだこれ、うさぎか?
なにこれ、うさぎ?笑
Aそう!可愛くない?
そう聞かれてスタンプをよくよく見ながら悩む。どこに可愛い要素があるんだろう
うーん、ノーコメントで
Aあっ……;;
電車内なのに笑ってしまいそうになるのを頑張ってこらえる。可愛いの感性って、人それぞれなんだな……
ふと顔を上にあげて首を回して凝りをほぐす。電車がトンネルに入ると、向かいの真っ暗な車窓に自分の顔が写った。
そこにはとんでもなく顔が緩んだ自分がいて、急いでスマホの画面に目線を戻した
……まって、これってそういうこと?
今の今まで知らなかった自分の心情に戸惑いながら、ドキドキする胸を無理やり押さえつけた
さっきまでは可愛いと思えなかった彼女から送られたうさぎのスタンプが、今は何故か可愛く見えてしまった
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作者名:ゆぢ | 作成日時:2023年12月21日 16時