短編2 (ページ43)

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酔い酔い 💥 ページ43

💥

目の前の友人を見ながら、酔いがお互い限界なことを確認する。彼の顔が赤いのが心配なのでお水を手渡しする。

「え、なにこれ」

てんたが片手にペットボトルを掴みながら、ライトに透かすようにしてじっくりと観察する。どっからどう見たってお水です

「お水ですよ、美味しいお水。てんたさんにだけスペシャルサービスです」

なんでこんなになるまで飲んだっだっけ。ちゃらんぽらんな頭で考えても詳しくは分からないが、てんたと一緒にお酒を飲むのが楽しくてついつい飲みすぎたのだろう。最初にこのペースで飲んで大丈夫かな？と思ったら時すでに遅し。そこには酔っ払い2人が出来上がっていた

「まぁじ？ありがとう」

うん、ありがとう。てんたにはお世話になってるからね。特別だよ

「特別なの？俺だけ？」

お水を飲んだ彼から聞かれる

「あ、やべ。口に出てた？」

「うん、特別だって。」

そう言う彼の表情が楽しそうで、

「そうだよ。てんたは私の特別だよ」

そう言って彼の頭を撫でくりまわした

「わー！やめろー！」

そんなやめて欲しくなさそうな声色で言われても…。でも彼に言われたので、私は撫でるのを止める

すると彼ははてなマークを頭に浮かべたような表情をしてから、目線を下に下げて言う

「ごめん、やめないで」

突然犬の耳と尻尾が見えて、私は彼を傷つけないようにしながら撫でるのを再開させた。彼が上機嫌に笑うのでこちらも楽しくなってくる

「俺ばっかやられっぱなしすぎない？」

そう言われて今度はてんたに髪をわしゃわしゃと撫でられる。彼は実家に犬を飼っているからだろうか、撫でるのが上手すぎて心地よかった

「てんた撫でるの上手いね」

そう伝えるとパッチリと目が合う。そしたら思った以上に顔の距離が近くて、お互い無言になってしまう

ゆっくりと距離を取って、気まずい気持ちのままお水を飲む。私はなんか言わなきゃと思って言葉をひねり出す

「やばい。飲みすぎて顔熱い、笑そろそろお開きにする？」

手を扇に見立てながら顔を扇ぐ

「うん、そうしよ。酔いがもう限界笑」

彼は私の言葉に賛同してくれたけど、顔が熱いのは本当にお酒のせい？

酔いが回って頭がクラクラとした