渡韓前の滑り込みバレンタイン 🧣 ページ27
弟🧣
時間軸は韓国行く前の設定です。
「お、なんかいい匂いするー」
キッチンでバレンタイン用のお菓子を作っていると、弟がのんびりとした声色で背後から声をかけてきた
「めいの分もあるよ」
実はめいが韓国に行く前に作りたくて、今日はバレンタインではないが私は早めにお菓子作りに取り掛かっていた
「まじ？！最高なんだけど」
弟が嬉しそうな声をあげる。チョコを作るだけでこんなにも喜んでくれるのは姉冥利に尽きるなと思う
「今盛り付けだから、完成したら置いておくね」
そう告げると「はーい」と返事が返ってくる。が、何故か背後の気配はそこに留まり続けたまま。なにか取りたいのかな？と思い身を端に寄せるも彼は特に動かなかった
まさか体調良くない？と振り返ると彼は腕を組んで壁に寄りかかっていた。私が彼に問いかけようとした時、彼が口を開いた
「それ、俺以外は誰にあげるの？」
チョコを交換する約束をしているのは大学の仲のいい友達数名で、後は授業が一緒になった人に配ろうかなと考えていたのでそのことを伝える
「ふーん、男にはあげるの？」
そう言われて誰と約束したかを思い出す
「あ、一人あげるかな」
大学の同期から"Aからのチョコが欲しい"と言われたので渡す約束をしていた
「だれ。彼氏？」
同期とのやり取りをぼんやりと回想していると、弟がたんたんと言葉を口に出す
「いや、大学の同期。友達だよ」
それにしても君、オラ営してるホストみたいな口調だね。どうしたの
「そう。どんな人？」
オラ営するホストな弟を想像して一人楽しむ。女の子に後ろから刺されないように気をつけなきゃだね。ラーク注意だ
「うーん……私にチョコ頂戴って言うくらいだから、チョコめっちゃ好きなんじゃない？」
その同期は弟の知らない人だと思うので、よく居眠りしてるとかの情報は要らないかなと思いチョコ好き説を提唱してみる
「あぁ、好きな人とかでもないんだ？」
その言葉に私は頷く
「Aが作ったチョコ、一番に食べれるのって俺だもんね」
そうやって笑う弟がなんだか楽しそうで、こちらも元気になってくる。これは丁寧に盛り付けをせねば
「そうだね。とびっきりの作るから、任せて」
そう言うと彼は満足したのか、「うん」と頷いてキッチンからリビングへ歩いていった
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作者名：ゆぢ | 作成日時：2023年12月21日 16時
