共食い 🐦 ページ15
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「ね！私が死んだらさ、その時は私のこと食べてよ」
頭のおかしなことを言い出した妹を横目に、ソファで仰向けになりながらスマホで動画を見始める。こいつはいつも周りを振り回す天性の末っ子属性であるため、いちいち突っ込んでいてはこちらの身が持たない
「あなたに言ってるんですけどもー」
妹が顔を覗き込んで来るので、観念して返事をする
「はいはい、聞いてますよ」
妹の話を聞くというのも、兄の責務である。決して罰ゲームではないし、彼女に罪はない。彼女はただちょっとおしゃべりで面白い女の子なのである
「食べてくれるの？」
てかなんだそれ、カニバリズムみたいなこと？
そう疑問に思ったことが伝わったのか彼女が喋り出す
「カラスって、共食いするらしいよ」
ニコニコとしている彼女は何がそんなに楽しいのだろう
「うげっ、その感じまじでカニバリズムのことじゃん。俺食べないよ」
兄をからかうのが楽しいのか、彼女はケラケラ笑いながら口を開く
「んー、だよねー！」
それ以来、彼女がご飯を作ることを申し出てくれた時は感謝しながらも、俺は作る工程をキッチンで見張っていたし、渡される間食の類いもありがたいのだが恐ろしかった
でも彼女がご飯に自分の人体の一部を入れることはなくてホッと安心した。そこまで狂人じゃないよな、安心安心
ちょっとおしゃべりで面白い普通の子な妹のからかいだったようだ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「そんな、ご飯に身体の一部なんて入れないよ。でも、私が死んだらお兄ちゃんが食べてくれたら良いのになぁ…とは思ってるよ！」
だってそしたら、死んだ後もお兄ちゃんと一緒に居れる気がしない？
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作者名：ゆぢ | 作成日時：2023年12月21日 16時
