私だけの光でした 🌸 ページ12
🌸
学パロ要素アリ
クラスメイトのらずくんは、手がとても綺麗で運動が得意な人だった。人とはあまり関わりたがらない彼のことを知りたくて、毎日挨拶していた日々を思い出す。挨拶だけをする関係から世間話をするような関係になるまでどれだけの時間を費やしたことか
やっと名前呼びしてくれるようになって、メールを交換こしてからは"私が女子の中で一番仲がいい"と信じて疑わなかったし、らずくんが他の女の子と仲良く喋っているところを見たことはなかった
放課後に一緒に帰ろうと2人きりの約束をして、誰にも見つからないように図書室の前の廊下で待ち合わせをした。角を曲がると廊下でぼーっとしている彼を見て、目が合ったら控えめに手を振って、一緒に下駄箱まで歩いて。一緒に帰る時に周りに同じ学校の人が居ないか確認しながらおはなしした。
なんでバレないようにお話ししてたかというと、らずくんは素敵な人なので、その魅力がバレないようにしていたから。私よりも素敵な女の子なんて沢山いるから、らずくんの魅力が周囲にバレたらお話ししたりなんて出来なくなると思ったからだった
時が流れて、お互い大人になって。彼はプロゲーマーの道へと進んだ。昔彼のゲハ近くの外で会った時に、彼のチームメイトの方と偶然会った時は少し焦った。
そのチームメイトの方が「らずが女の子と喋ってる!」とびっくりしたのを見て、安心したと同時に"こんな人間でごめんなさい"と心の中で謝罪した。彼の一番の女友達であることに優越感を感じてしまう、そんな姑息で小さな自分が気持ち悪かった。
そのままらずくんとの関係の名前が変わることなく今まで歳をとり、私は彼の活躍をインターネットで目にすることが段々と増えてきた。キラキラとした脚光を浴びる彼は、然るべき場所に居る主人公のようだった。
そう、彼の隣に私は似合わない。ステージ上で輝かしいスポットライトに照らされるべきだ
私はパソコンのブルーな光を浴びながら、試合に望む彼を見る。あの頃の彼は私だけの光だった。いや、私が周りにひた隠しにしていただけの、光だった。
光に魅せられた影が、立場違いの恋をする
自分はなんて愚かなんだろう。ヘッドホン越しに鳴り響く銃声と歓声をぼんやりと聞き流した
74人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆぢ | 作成日時:2024年3月7日 16時