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体が揺れ、目を開けると、そこは馬車の中だった。
ふと、窓に目をやれば、清々しい青空だけが私の目の前に広がっている。
「…え？」
めちゃくちゃ驚いた。だって、馬車が空を飛んでいるんだから。
「まってまってまってえ？」
思考停止も免れなかった。立とうとするが、何故か体が動かない。周りを見渡すと、手の届くところに
小さなベルが壁についていた。
「ご不満、ご質問がありましたら、このベルを鳴らしてください…」
ここは居酒屋かて。しかし、今はこれしかない。
何故か動く腕を伸ばし、人差し指で軽く押してみた。チーン、と高い金属音が響く。
「どうされましたか？」
「ｳｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞ！？」
前を見ると、私の手を取ったあの執事が座っていた。
「え！？なん、は！？」
「どうかされましたか？」
「どうもこうも！？さっきいなかったのに！！なんでいるんですか！？」
「おや？」
執事は不思議そうな顔をした。今ある状況が、当たり前かのようだった。
「A様、今から行く場所を御存知ですか？」
「え、高校ですよね？」
「ええ。その高等学校の名前を応えていただいても宜しいですか？」
「え…と、ナイトレイブンカレッジ、でしたけ？」
「案内パンフレットはお読みになりましたか？」
「いや、いつの間にか捨てられてて、」
すると執事は驚いた顔をした。
「必要な資料には名前を記載しましたか？」
「はい。…正直言えば、なんも気にせず適当に印鑑とか押してしまったんですよね」
今度は信じられない、とでも言いたげな執事が顔を顰めた。まぁ、当たり前の反応だと思う。
「…一から説明する必要がありますね」
執事は身を整え、ゆっくり話し出した。
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作者名：すいへ | 作成日時：2020年12月12日 22時
