参 ページ3
「あ、Aさん」
「炭治郎君、おはよ!」
「おはようございます!」
散歩をしていたら、偶然にも炭治郎君に遭遇した。
彼は禰豆子ちゃんという鬼と共に戦う、剣士の中でも特に強そうな子だ。そんでいい子。
「あれ、他の二人はどうしたの?」
「胡蝶さんに呼ばれています」
「あぁ…」
なんかやらかしたのが直ぐに理解できた。
「あ、じゃあさ。ついでに゙あの゙話聞くよ!」
「え、えぇ!?大丈夫ですよ!!」
「昨日一緒に横並びで歩いてたのに?」
「うぐっ…」
「さ、屋根に登って。話聞くから!」
「はい…」
恥ずかしそうに顔を赤らめながら返事をした彼は、一生幸せになって欲しいと願った。
蝶屋敷の屋根に登り(無許可)、炭治郎君の左どなりに座った。
「で、蝶ちゃんとは進展あった?」
『蝶ちゃん』というのは、カナヲちゃんの事だ。
「あの、その事で相談があって…」
「ん?なに、どしたの?」
さっきより一層顔を赤くした炭治郎君の雰囲気が、いつもより違うのがわかった。
「実は、そろそろ想いを伝えようかと思っていて…」
「え!!まじで!?応援するよ!!」
「それで、どこでどんな風に想いを伝えるかを、すごく迷っていて…」
「なるほどねぇ」
私の中での答えは既に出ていた。
「別に場所とかは関係ないよ。大切なのは、『自分は貴女の事が好きです』ってことをしっかり伝えておくこと」
「なるほど…」
「不安がる必要はないよ。ていうか、告白されただけでも正直嬉しいし」
「そう、なんですね…」
「というわけで、早速実行しようか!」
「え?」
私は炭治郎君を、屋根の上から落とした。
「さぁ、頑張ってみな」
下の様子を見てみると、炭治郎君に駆け寄って心配するカナヲちゃんの姿が見えた。
「…いけ」
暫く見ていると、炭治郎君から口を開いた。
炭治郎君が口を閉じた後、カナヲちゃんの顔がみるみるうちに赤く染っていくのがすぐにわかった。
「…」
数秒後、カナヲちゃんが顔を縦に動かし、炭治郎君がカナヲちゃんを抱きしめた。
「…おめっとさん」
まぁ、見なくてもわかった結末だったけど。
「…空の呼吸、肆の型
雨霰(あめあられ)」
私は二人の頭上を飛び越え、雨の代わりに花を降らした。
二人とも、お幸せに。
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作者名:すいへ | 作成日時:2021年8月17日 22時