よーん ページ5
夏休み。
待ちに待った夏休み。
皆が、カラオケに海、プールで遊んでる中私は家で昼寝中。
宿題をやる気力もなくてただずーっと前にあるクーラーを見ていた。
ふと立ち上がると窓を開けた。
心地よい風とうるさい蝉の声。
頭がくらっとなってすぐに窓を閉めた。
『……なにがしたかったの……』
意味もなくそんな言葉を口に出す。
なにかしたいけどなにもしたくない。
なにか、なにか、なにか……。
『……久しぶりに散歩してみようかな』
お母さんと小さい頃よく散歩してた。
歩く度に新たな発見があって好きだった。
今はそんなに、余裕もなくて全然しなくなっていたけれど、久しぶりにしてみようかなぁ。
お財布、鍵、飴、それからそれから
必要そうなものを次から次へリュックに詰め込んだ。
久しぶりの散歩。
何が起こるか分からない不安で少し荷物が多くなってしまった。
白いワンピースに荷物を詰めたポーチ、少し小さくなったサンダルを履いて外に出た。
ムワッとした熱気と蝉の声で
倒れそうになる。
『まぶし……』
お昼すぎだからか、日差しが強い。
こんなことなら帽子を被っていけばよかったと、今更後悔。
さて、どこに行こうか。
特に何も無い田舎。
きっとクラスの皆は電車やバスでわざわざ遠いところに遊びに行くんだろう。
……公園でいいや。
近くのコンビニで買ったソーダ味のアイスを舐めながら歩く。
買い食いなんて久しぶりにしたな。
美味しい。
爽やかな味が私をほんの少し涼しくさせた。
もう少しで公園に到着……あれ？
1人でブランコを漕いでいる小さい女の子。
あの子は……早乙女さん？
どうしよう引き返そうか、こんな所で会うなんて。
とモタモタしていると私に気がついたのか早乙女さんがこちらに走ってきた。
ふわりと柑橘系のいい匂いがする。
｢佐野さん？偶然だねえ！どうしてここに？｣
いきなり質問に戸惑いながらももごもごしながら答える。
散歩。
｢散歩！良いねぇ私もよくそこら辺歩いてたなぁ。私はね、特にやることがなくて公園に来たの。｣
理由は……だいたい私と同じ感じだった。
｢ねえねえ！ここで少しお話しない？｣
突然のお誘い。
憧れの早乙女さんからのお誘い。
特に断る理由もなかったから
うん、とうなづいた。
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作者名：メンヘラっ子 | 作成日時：2019年3月6日 22時
