42 Rabbit ページ43
「…………そう言えばAさんにこれを返さないといけませんね」
そう言って銃兎さんは胸ポケットから物を取り出した。
そう。それは私の白い手袋。銃兎さんに貰ったもの。そして私が銃兎さんに預けたもの。
「この手袋を持っていると、ステージの上でもなんだか安心できました。きっと貴方を感じることができたからでしょう」
そう言って銃兎さんは手袋を前に差し出す。
『…………』
やばい、シンプルに嬉しかったり、自惚れそうになる自分が悲しかったり、色んな意味で泣きそうになる。
だから私は無言で手袋を受け取ろうと手を前に出した。
すると。
ぺちん。
『っ!!』
銃兎さんに優しく頬を手袋で叩かれた。
驚いて銃兎さんを見る。
「これと同じことをお前は俺にやったよな?お前のあれは「決闘の申し込み」って受け取っていいんだよな」
そう言って銃兎さんは両手で私の顔を挟む。
彼の綺麗な瞳は私を一直線に射抜いていた。
しまった。顔をがっちり固定されて顔を背けることが出来ない……。
「なんの決闘だ。言え」
目の前の彼は、私を逃がさん。とばかりに胡散臭く笑う。
銃兎さんが私のとった行動の意味を知らないってことは。
……左馬刻さん、本当に私の考えを銃兎さんに言わないでくれたんだな。
少し安心した。
だって、言うんなら自分の口で言いたいからさ。
そして私はなんとなく思った。
想いを伝えるのは今なんじゃないのか。と。
銃兎さんがラップをさっき頑張って来たんだから、今度は私が自分のことを頑張ろう。
振られたらそりゃもちろん悲しい。兎コンビとして銃兎さんと活動するのも難しくなるかもしれない。
だけど。きっと今頑張れなかったら私は絶対後悔するだろう。
彼の瞳から目を真っ直ぐ見つめる。
『……宣戦布告です』
銃兎さんは少し眉をひそめた。
「……なんの宣戦布告なんだ?」
怖い。
けど言うんだ。
頑張れ私。
素直なのが私の長所でしょ。
なら、私の考えを全部言うんだ。
『銃兎さんを絶対に落としてやるっていう宣戦布告です!!!!』
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胡瓜しらす(プロフ) - キエェェェエエェェェエエエエエェエェェエエエエエ尊い………… (2021年4月25日 16時) (レス) id: 25950665d2 (このIDを非表示/違反報告)
目玉焼きポン酢 - 最高すぎます (2021年4月2日 13時) (レス) id: 2041172a3b (このIDを非表示/違反報告)
ヒプマイlove - 最高すぎです。もうなんなんですか!キュン死するかと思いましたよ!大好きすぎてどうしたらいいんですか。本当にありがとうございました。こんなに素敵な小説初めて出会いました!!かっこよすぎ!次、理鶯さん(最推し)がいいな…(上目遣い)すみません。図々しくて… (2019年8月30日 0時) (レス) id: 8a3696dd70 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - ヤバいです!カッコよすぎる銃兎さん…!!応援してます!これからの作品もがんばってくださいね! (2019年8月1日 16時) (レス) id: 86ef9860a7 (このIDを非表示/違反報告)
メビウス(プロフ) - 返信がとても遅くなってしまってすいません(--;) 45Rabbitのところに気づいてもらえて嬉しいです!地味に数合わせ苦労したので...(;´ω`) 最後まで読んでくださってありがとうございました!! (2019年6月5日 1時) (レス) id: 75ad7ad27c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メビウス | 作成日時:2019年2月16日 18時