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10.TH ページ10

控え室に戻ると、ナムジュニヒョンから軽くお叱りを受けた。
ちょうど探しに行く所だった、と。

『すみません、ヒョン…』
『…まあ、何も無いなら良いんだ。それよりどこに行ってた?』
『どこにも!MWさんと話してた!』
『え!ヒョンズルい!僕だってもっと話したかったのに!』
『ひひ、しかも褒めてもらっちゃった。』

ピースしながら言うとジョングクが頬をふくらませた。可愛い弟だ。
するとユンギヒョンが横から口を挟む。

『お前なぁ、初対面で催促とかするなよ。』
『し、してないよ!ただ、誰が特に凄かった?って聞いたら、1人には絞れないって』
『へぇ、それで?』
『俺がそっかーって言ったら、…ふふ』

思い出してつい嬉しくなってしまい、笑みがこぼれる。ヒョン達はちょっと引いてた。
ジミンは続きが気になるみたいで、肩を組んで『それで?』と聞いてきた。

『それで…キレのある豪快なダンスと、表情管理が上手だったって。他の曲も聴いたりしてくれてて、裏声と地声の使い分けが上手いって、歌も褒めてくれたんだ。』
『へぇ、いい人じゃん!僕も今度話しかけてみようかな。』

ジミンが楽しそうに話す。ジョングクはみるみる機嫌が悪くなる。そんなに怒らなくてもいいのに…。

『俺、またMWさんに会いたいなぁ。』
『俺も。あれ自作曲なんだろ?そのうち音楽の話とかしてみたい。』
『え、そうなんだ!多彩なんだね彼。』
『彼女じゃないか?』
『え?男の子じゃ…?』
『…え?』

一斉に無言になる。そういえば考えてなかったけど、どちらとも取れる容姿や声だった。
するとユンギヒョンが徐にスマホを開いて何かを打ち込む。恐らくMWさんのことを調べてるんだろう。

『お、あった』

その一言に、全員がユンギヒョンの周りに集まった。

『中性的アイドル…?』
『性別不詳…って、公開してないってこと?』
『…1作目の「unknown」に続き、2作目「Noise」が日本中で大ヒット…えっ、あれが2作目?!』
『すごいな、才能の塊じゃんか。』
『それに加えてあのダンスと歌唱力…そして性別不詳とまで来たら、誰もが気になるよな。』

全員が初めて聞いた、性別不詳のアイドル。よく調べてみると、誰も本当の姿を知らない謎多き人らしい。本名も、出身も、年齢も…果ては趣味なども。アイドルなのにこんなに非公開なことあるんだ。

でも、彼…彼女…いや、MWさんの魅力はそこにあるのかもしれない。俺はますます興味が湧いた。
次に会えるのはいつかなぁ。

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作者名:りいた | 作成日時:2021年9月15日 12時

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