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「あらやだ、大胆ね彼。」
「だいたん?」
「なんでもないですよ。」
「あい」
マネージャーが口元に手を当ててにやにやしながらこちらを見てくる。なんだその目は。今までもこれからもそういうことは無いぞ。
「それよりどうしたの、そんな悲しそうな顔して。」
「してません。ただ、…次の音楽番組が終わったら、帰国すると。」
「あぁ〜…そうよね。せっかくMWにも友達が出来たのに。」
「友達じゃ…」
そこまで言いかけてハッとする。
友達じゃないなら、この距離感をなんと説明するのだろうか。
私に抱きついたままのテヒョンイヒョンと目が合う。
『…?』
……いや、綺麗な顔だな、本当に。じゃなくて。
『…マネージャーが自分達のことを、友達同士と思っているようで。』
『…違うの?』
彼は心底驚いた顔で言う。
…お世辞とか気遣いとかじゃ、ないのかな。
『…友達と、思っても…良いんでしょうか。』
でも、私にはまだ、自信がなくて。
俯きがちにそう言うと、テヒョンイヒョンは私から離れて、私の顔を片手で掴んだ。
「んぇっ」
『俺はとっくに、友達と思ってたけど?』
そう言って彼は私と目線を合わせ、優しく…でも少し悲しそうに笑って、ゆっくりと手を離す。
『…MWは嫌?』
『っい、嫌なわけ…!ただ、自分なんかが』
『それ、俺たちの前では禁止。』
『んむっ』
唇に人差し指を押し当てられ、思わず黙り込む。
ヒョンはふ、と笑って続ける。
『自分なんかがって、卑下しないでよ。俺たちは君に惹かれて、君に興味を持って、君を好きになったんだ。…俺たちの好きなMWを、MW自身が否定しないで欲しい。』
『っ…ごめんなさい。気を付けます。』
『ん、いい子。』
そう言って四角い笑顔を見せる彼は、幼い子供のように笑うのに、とても大人びて見えた。
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作者名:りいた | 作成日時:2021年9月15日 12時