ハンター試験 ページ10
『一段と霧が濃くなってる…』
湿原を包み込む濃霧のため、視界が狭くなっていく。いつの間にか後方集団と離れてしまい、気配すら感じられない。
ゴンは、後ろを頻繁に確認していた。
「ボヤッとすんなよ、人の心配してる場合じゃないだろ」
確かにキルアの言う通りである。霧で目の前を走る受験者すら姿が霞んでいる。気を抜けば自分たちが危ない。
そのとき＿＿
「ってぇーー!!｣
「!!、レオリオ!!｣
後ろから悲鳴が聞こえた。直感でレオリオのものだと認識する。ゴンは元来た道を迷いなく走っていく。
ゴンを追いかけようとAも方向転換する。が、キルアに手首を掴まれ進むことができなかった。
「Aも行くのかよ」
『別に…暇だから行こうとしただけ』
とクスッと笑う
「バカか!?暇だからって理由で行くやつお前ぐらいだろうな」
『まあゴンなら大丈夫多分、だと思うけど』
『もしさ私が行ってたらどうする？』
｢どうもしねぇけど、迷子なってんじゃねえかって思ってる」
『ははっ、迷子にはならないよ、ヒソカに連れっててもらえばいいんだし』
｢ヒソカと関係あるのか？」
『まあね』
第一印象は緊張感ないし気弱そうな奴。男だらけの巣窟だというのに、すやすや眠る姿に呆れた。隣に座って殺気を放てば、Aを見ていた受験生は逃げるように去っいった。どうせ一次試験で落ちるだろうし、放っておけば良かったんだ。でも、
「!!」
キルアはゴンを追いかけようとしたAの手首をとっさに掴んでいた。その行動に一番驚いたのはキルア自身だろう。服の裾が軽くなった瞬間、体が勝手に動いていたから。
「行くのかよ」
ゴンならきっと大丈夫＿＿Aを止めるために言った言葉は、キルアに重くのしかかった。この濃霧では戻るのは至難の技。きっとAもそのことを分かっている。
けれど、Aはゴンなら大丈夫多分と言って笑った
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作者名：あんみつ | 作成日時：2022年7月18日 17時
