ハンター試験 ページ7
80km地点を通過したところで、受験生達を待ち受けていた試練は急勾配の階段。ここから上りになるらしい。Aはロラースケートをしまった
サトツは今までと変わらず散歩でもするような軽さでペースを上げた。ここまでの長距離走ですら息切れしていた受験生達が、階段を前にし次々と脱落していく一方。
すごいな。二段、いや三段とばしで上がってるサトツに感心するAはまだまだ余裕の表情だ。
『皆遅いなぁ。先頭まで来ちゃった』
前方に見えるのはサトツの背中のみ。後ろを振り返ると、30段以上離れたところを走っている受験生達が見え、Aは口角を少しあげる
Aはサトツの横に並ぶと声をかけた。
『サトツさんこの階段、後は出口まで一本道ですよね？ 最初に"試験官について来ること"って言ってたけど、追い越したらダメですか？』
「失格には致しませんが」
『ありがとうございます』
222番、彼女使えるようですな＿＿あっという間に自分を追い抜かしていった少女について、サトツは興味深そうに呟いた
長かった地下道は終わりを告げた。視界が開けた
目の前に広がる湿原。いくつかの動物の気配。こちらを窺っている。
ただし、ここは念願のゴールではなさそうだ。もしかしてサトツさん分かってて先に行かしたな……。
Aは後方の受験者を待つこととなった。
Aは被っていたフードを外した
『んーなんか窮屈なの楽になったな…試験中外したいけど…』
そう考えてるとさっき通った出口からなにか聞こえた
「ゴーール！！｣
Aがたどり着いた数十分後、明るい声を上げながら二人の少年が地下道から飛び出した。
「やった、オレの勝ち！」
「何言ってんだ、オレの方が速かっただろ」
「オレの方が速かったもん。ね、どっちが速かった？」
「私の目には同着に見えましたね」
ですが、あちらに先着の方がいますよ、と続け、サトツはAに目線を向けた。
それと同時にフードを急いで深く被った
『え…私…？』
「あ！お前！」
「あ！寝てた人！」
「ゴン知り合いか？」
｢うん！起こしてあげたの」
少年がAに声をかけてきた。
「君、速いね！ビックリした！オレはゴン、よろしく！」
他人であった自分に手を差し出してくれるゴン
｢君の名前は？」
『私の名前は…A』
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作者名：あんみつ | 作成日時：2022年7月18日 17時
