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「大丈夫、なんかなぁ…」
「神ちゃん、よな」
「おれらのこともっと信用して欲しいんやけどなぁ」
神ちゃんがトイレに行く、と抜けてからしばらくの時間が経った。
明らかにトイレだけの時間では無いくらいの時間が。
最近の様子を見ていても、くまが消えることはないし、それどころか悪化している。
「どうしたら頼ってくれるんやろな…」
ずっと神ちゃんの兄貴分の存在な照史は、全てを隠してしまう彼が心配で、落ち着かない様子。
もちろん、照史だけでなくメンバー全員が心配していて、小瀧なんて優しいお兄ちゃんが…と落ち込んでいる。
寝かせる方法をみんなで考えていると、扉が開く音がした。
「お、おかえりー」
という間もなく小瀧が神ちゃんに飛び込む。
トイレに行っていたはずなのに、どうしてこんなに時間が経ったんだ
彼に聞くと、近くのトイレは混んでたから、だそう。
そうなんや
なんて思って欲しいと思ってるんやろう。
でも、トイレに行く前の神ちゃんの様子と、帰ってきたときの顔色の悪さに、それはないと断言出来る。
神ちゃんの顔色の悪い中、ダンスレッスンは始まり、全員が全力で練習する。
でもそんな中、俺の集中力は全て神ちゃんの方へ向かっていた。
どうしたら彼に休んでもらえるだろうか、眠れるようになるのだろうか
きっと気づかれていたと思う。
俺が神ちゃんの方ばかり見ていることは。
でも、どれだけ俺が見ていても、笑みが崩れることも、真剣な表情が崩れることもなかった。
なあ、何をそんなに隠してるん?
察せないような鈍感な俺に、教えてや。
▶▶
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作者名:ねむちゃ | 作成日時:2023年11月25日 22時