検索窓
今日:17 hit、昨日:9 hit、合計:3,612 hit

6 ページ6

.






「、ぉぇ、っ」





先程の部屋から少し離れた静かなトイレに、自分の嗚咽が響く。





「ふっ、ぐ」





吐いても吐いても、脳に直接響く誰ともわからない声。



気持ちが悪くて仕方がないのに。




”ねぇ、なんでなの”




”自分でも理解してるでしょう”



なんでこうなったかなんて、おれだってわからない。


おれが知りたいのに。















『最近彼、微妙じゃないですか?』



『なんかねぇ、唯一パッとしないよね』




誰かが近づいてきている。



声を聞く限り、いつも自分たちのことを親身になって考えてくれるスタッフさん。


だから普通に出ればいいのだろうけど、会話の内容的に、いい話ではなさそう。


そうしているうちに入ってきてしまって、出るに出られなくなった。




『あのグループに俺がいつも優しくしてるからって、ねぇ』










まさか、





おれらじゃないよな?






『いつも思ってるんですけどね?』



『なんで”神山さん”が人気あるのか知りたいですよ』











信じたくない




信じたくなかった







信じたくない現実から目を逸らしたくて、彼らがトイレから出ていってすぐに



おれも、メンバーのいる部屋へ戻った。






「____なんかなぁ…」



「__ん、よな」



「__れらの__もっと___して欲しいんやけどなぁ」





扉を開けようとした時に、聞こえてきた会話




さっきまで、おれがいた時まで


こんなに雰囲気は暗くなかったはず






おれのせい、なんかな






おれらの大切なファンの子に嫌われ



優しいはずのスタッフさんに嫌われ




ずっと一緒の、メンバーにまで、嫌われたんかな






あんなに、褒めてくれたん、嘘やったんかな


寂しい、なぁ


っとりあえず、トイレって抜けてきたんやから入らな。





いつもより、扉が重く感じる。



「あっ、神ちゃんおかえりー!」


「もーどこまで行ってたん?!めっちゃ遅かったやん!!!」




のんちゃんがいつものように飛び込んでくる。




みんな、普段と変わらない姿。




さっきのは気の所為、

気の所為やったんや…!




「ちょっと遠くのとこ行っててん!混んでたんよ」




気持ち悪かった、なんて言わない。

にっこり笑って、



いつも通りの、普通の”神ちゃん”の完成。




「そーなんや!じゃあしゃーない!」

「この後ダンスレッスンやで!はよ行こか!」




「おん!」


いつも通りの、おれ。


▶▶

7→←5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
58人がお気に入り
設定タグ:JW , かみしげ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ねむちゃ | 作成日時:2023年11月25日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。