不良義兄。 【市橋哲人】

ただいま日常 ページ9

昨日の事で頭がいっぱいであまり寝れなかった。眠りについても、朝の2時くらいに目が覚め、ぼおっとして、そのまま朝になってしまったようだ。




『うわ、最悪。めっちゃだるい』




重い体を起こし、洗面所へ向かう。




この家、無駄に広いからどこがどこか分からないなぁ。




そして、洗面所と思われる場所に足を踏み入れると、一番見たくないやつが立っていた。




顔を洗っていたのか、顔がビショビショでタオルを探している。目に水が入るのが嫌みたいで、目を閉じながらタオルを探しているため、なにも見えていないみたいだ。




そのまま転べ、と心の中で念じながら、洗面所を後にすることにした。




「おい。」




そのまま通り過ぎようとしていた最中、奴に呼び止められる。




目ぇ開けてないよね？？こいつ、なんなの？




『なんですか..？』




「タオル、とれ。」




取らなかったら、また般若みたいな顔で睨まれるし、渡しとくか。と、棚に置かれたタオルを渡した。




『どうぞ』




「遅ぇ。」




渡したタオルで顔をゴシゴシ拭きながら、私の顔を見る。




「お前、ぶっさいく。鏡でみてみろよ」




『は？』




いきなりの言葉に驚きを隠せなかった。




笑いながらとかだったら、もう！みたいな感じでリアクションとれるけど、真顔とかキツすぎる。




てか、タオル取ってあげたのに、お礼じゃなくて暴言で返されるって私、かわいそすぎるだろ。




急な暴言でフリーズしていると、邪魔。と肩をぶつかられ、通りすぎていった。




こいつぅぅぅぅう！！！！！！




だが、後から言われた通り鏡で顔を見ると、本当に見るに耐えない顔だった。




隈のところにコンシーラーでも塗っとこ..




部屋に戻り、制服に着替えて、朝ごはんを流し込み、玄関へ猛ダッシュすると、




「A！！待って！！！」




『なに？顔に時間かかってギリギリなんだけど！！』



お母さんに呼び止められる。




「哲人くん、お弁当忘れてるみたいなの！」




『わざとじゃないの？』




「哲人くんの大好物もいっぱい詰めたから、届けてほしいんだけど...」




『はぁ！？』




何、馬鹿なことを言っているのか。この母は




『弁当無くても、困らないでしょ！購買とか学食あるでしょ！』




「..でも、せっかく家族なった記念すべき一回の手作りなのに。」




しゅん、とあからさまに落ち込む母。




『だぁぁあ！もう分かったよ！』

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