不良義兄。 【市橋哲人】

急展開 ページ7

『はぁぁ？！』





どういう風の吹き回しだよ。




気に入られた、とか？
よくあるよな〜、漫画とかで。




そんなことをのうのうと考えていたら、





「あ？気に入ってる？その逆だ。」





『なんでわかった！？』





「全部顔に出てんだよ。」




はっ！
これも私の悪いクセだ。





てか、気に入るの反対...？





「お前さ、死んでも嫌なんだろ、俺と兄妹なんの。」




『はい。っあ、いゃ、あの..』




思わず口を塞ぐが、出てしまった言葉は戻らい。





「俺はお前のことが、気に入らない。だから、死んでも嫌なことをしてやる。」





だから、兄妹になるってこと！？





普通にあり得ない。





『嫌です。』





「別に断りたきゃ、断ればいい。」





アイツはでも、と言って、取り巻きの男達を指差す。





「俺らに何されるか分かんねえな」





『ひいっ！』





「はは、ひい！ってひどくねー？」





「てか、俺ら的には好都合だわ〜。やってもいいんだろ」





下品な言葉が数々聞こえるなか、私は迷わず答えた。





『..よろしく、お兄義さん。』





恐怖と嫌悪で自然に笑うことができず、無理矢理に口角をあげて笑う。





「はっ、ぶっさいく。」





あんときの笑顔は、別に嫌いじゃない笑顔だった。





『..普通に笑えるんですね。』





「は？」





『だって、さっきからこんな顔で笑ってばかりだったから』





眉間に皺を寄せて、人指し指で口の端をぐーっと上げて、真似をしてみせた。





すると、気にいらなかったのか前髪をわしづかんで、上へと引っ張られる。





『いだだ、まじで痛いっす。ほんとすみませんもうしません』





「お前、あんま生意気なこというと縛り上げるぞ」





さっきの笑みはどこかへいってしまい、今は真顔で睨まれる。





すると、携帯の着信音が鳴り響く。





アイツの携帯だった。





「んだよ。ああ？..分かった。..ちっ、分かってるっつんてんだろ」





そして乱暴に切って、ポケットに入れた。





『じゃあ、私は..ここで。』





「何いってんだお前。」





「親から話聞いてねぇのか？」





『へっ？』





「俺らに報告してきたろ。結婚と"一緒に住む"って」





そんな話、一言も聞いてないわ！！！！





『いや、でも、年頃の男女が同居は..』





「じゃあ帰れば？お前んとこの家、売ったらしいけど」






お母さん！！！！！！？

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