不良義兄。 【市橋哲人】

本音 ページ6

『えっ？』





「叫んでも、ああやって俺らがアイツらをなぐっても、」





私の首にアイツが手を添える。
ひどく冷たく、思わず目を瞑る。





次に目を開けたときには、アイツの顔が真横にきていて、





私の耳元で





「テメェを殺したとしても、」





「サツも助けも来ねぇからな。」





殺す..？





私、義理の兄に殺されんのっ？





そんなの絶対！！！





『嫌だ嫌だ嫌だ！！！！！！！』





「ちっ、だからうるせぇっつってん、」





手で口を塞ごうとされるが、手でパシンと払ってしまう。




『..死ぬかもしれないから、言いたいこと言わして貰う。』





「あ？」





『あんたに殺されるくらいなら、ゴリラに殺されるほうが何倍もマシ！！！！この強面学ラン男！！！！』





『テメェテメェってうるさい！私にはAっていう名前があるんだ馬鹿野郎！』





大声で言いたいことを思いきり叫んだため、息が荒れる。





『はぁ、んで最後に1つ。私のお葬式、絶対お前来んなよ。てか、私だってあんたと兄妹なんて絶対嫌だから』





はぁはぁ、と過呼吸のまま、アイツを指差す。





すると、アイツの取り巻きみたいな奴らが次々に口を開く。




「やべぇな、アイツ。市橋くんに刃向かうとか命知らずかよ。」




「気の強ェ女だな。好みかもしれねぇわ」




「お前には由香ちゃんいるだろ」





カッとなると、つい取り乱してしまうのが私の悪いところだ。だが、さっきのは





と り 乱 し 過 ぎ た





『っ、あーと、え、さっきの私の先輩に言ったんです。決して貴方には言って』





すると、私が指を差した人指し指をぎゅっと握られる。
いや、掴まれるのが正しいかもしれない





『いだだだだだだだた！折れっ、折れるわ！！』





「俺に向かって言ってるから、この指は俺を差してんだろうが。言い訳するなら、先に指をしまえ」




そして、私の人指し指を解放する。





あまりの痛さに涙目になりながら、自分の指にふーふーと息を吹き掛ける。





アイツの握力、ゴリラかよ。





「俺はお前を殺さねぇ。使えるものは、ちゃんと使ってから捨てる」





「お前はボケ高の奴らを引き付ける、餌だから。」




勝手に餌にされてる。





「それと、俺はお前と兄妹になる。」





そう言ってアイツは、口角を上げた。

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