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…大きなカゴを抱えて
何ヶ所かあるバスルームへと
タオルを片付けに行く…
そう
何事も無かったように…
無になって…
何も考えないように…
……
……
…あー…
…どうしよう…
…もっときちんと対応するべきだった…
…
…
…あの時
不意に『トントン』って肩を叩かれて
咄嗟に振り向いたら…
すごく近くに彼の顔があって…
驚いて変な声が出ちゃった事が恥ずかしくて
柄にもなく戯けてみたりして…
…でも
かえって変な空気になっちゃって…
…
…それに…
タオルなんて
倒れてきてもちっとも
危なくないのに…
当たらないように
引っ張って助けてくれて…
いつもの彼は
猫みたいに
そっけない態度で
私の事は
まったく興味なくて
居てもいなくても関係ない
空気の様な存在みたいに
暮らしているのに…
…それに
…彼の見かけによらず
ずっと逞しい腕に
『ギュッ』っと抱きしめられて…
まるで大切な壊れ物を
触るみたいに…
私の事を優しく…
そっと触れてきて…
…ちょっとゴツっとした指で
そっと顔を撫ぜられ…
…あの距離で
私の目の奥まで
じっと見つめられて
私を見つめる彼の視線
…低いけど
優しい声で
名前を呼ばれて
「A…」
…一瞬にして
彼の魔法にかかった…
私の口の中を這う
彼の舌…
…柔らかくて
温かくて
私の舌を
絡めとるように
巻き付けてくる…
…彼の味…
…彼の匂い…
…全身を包み込まれるように
抱かれた時の
彼の体の重さ…
…私の足の間に
割り込まれた
彼の太腿の感触…
自分の身体なのに
いうことが全然効かなくて…
キスだけで
頭の中が真っ白になって…
指の先まで痺れてきて…
顔が熱って熱くなってるのが分かった…
…
…
…
気づいたら
めちゃくちゃになった
タオルの上に寝かされていた…
今、あの時のことを
思い出すと…
私の身体の
真ん中の
奥の方が
『キュン』って
熱くなっちゃう…
それに
…自覚があるのか無いのか…
男の色気が
身体中から
出まくってるから
タチが悪い…
…
…
…そして
誰だか分からないけど…
あの時
あのタイミングで
隣のクローゼットに
誰かが
入ってこなかったら…
…あのまま
私達…
…でも…
…彼
確かに…
私に
…『ごめん』って
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作者名：名無し85203号 | 作成日時：2023年6月30日 12時
