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『パタン…』
『ペタペタ…』
Aが、可愛い声をあげたと同時に
クローゼットの入口の開く音がして
誰かが裸足で入ってきた音がした…
俺たちは、驚いて
同時にお互いの視線を合わせた…
ふたりの会話は無いが…
お互い、言いたいことは分かる…
それに…
まずい状況なのは明らかで…
俺達は
音を立てないように…
そっと重なり合ってた身体を離して…
体勢を整えた…
隣に来たやつが
誰かわからないけど
俺たちに気付かずに
一刻も早く
クローゼットから出て行ってくれるのを
静かに待つしかない…
息を潜めて時が過ぎるのを待つ…
Aの方を見ると
乱れた髪と服を整えている…
……かっこ悪いな…
俺…
ほんと…
自分の頭を掻きむしりたいぐらい…
このイライラをどう鎮めたらいいんだ…
数分前に何も考えず
見切り発車した俺をぶん殴ってやりたい…
Aはというと、俺に背を向けて…
その辺に散らばっている
洗濯物を直していた…
…
…
…
『ペタペタ』
『パタン』
数分たって
隣のクローゼットにいたやつは
すんなりと何事も無く出ていった…
…
いったい誰だったのだろう…
いや…
そんなことより、Aは…
…
…
Aは、すっかりいつものヌナに戻っていて…
俺の方を見ること無く
タオルがいっぱい入った
でっかいカゴを抱えて
ランドリールームから出ていった…
俺は…
Aに声をかける事も止める事もできず…
ただ部屋から出て行くのを
バカみたいにぽかんと口を開けて
見つめることしか
できなかった…
…
…
部屋にひとり残された俺…
まわりには
たくさんの下着と靴下の山が残っていた…
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作者名：名無し85203号 | 作成日時：2023年6月30日 12時
