【深紅の冠は誰が頭に】三位一体【テンプレ集】 (ページ9)

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続き【半生】ページ9

【半生】

アーサーはもともと、プレナヴィア王国の隣にある国の王子だった。
しかし戦争(プレナヴィア王国は応戦してない)により侵略、敗北し、亡ばされた。
王である父も王妃である母も敵国の攻撃により命を落とし、故郷を失った幼き王子アーサーはそのお隣のプレナヴィア王国の収める妃の一人に引き取られた。その妃は戦争には参加していなかったものの仕事の都合でアーサーの故郷を訪れていたのだという。かわいそうにと思った妃は自分の王宮にアーサーを連れて、自分の魔法でアーサーの記憶を消した。過去の記憶を失ったアーサーは妃により「母親は自分だ」「お前はこの国の王子の一人だ」と思い込ませた。王位継承をかけて争っている最中だったプレナヴィア王国のとある妃はアーサーを一から育て上げ、戦術も学力も全てアーサーに教え込んだ。

しかしアーサーはまだ10にも満たない子供。そんな小さな王子にはあまりにもむずかしすぎた。
アーサーは成長するに連れ、失っていた昔の記憶を思い出すようになった。
彼の頭に過ぎるのは亡ばされた故郷(と思われる)と家族(おそらく)の風景。
そこまでは思い出せたのだが、それがなんなのか、ということはアーサーには分からなかった。

実は妃はかつてこの国を収めるシルヴェストル現王の召使いだったが、とある王子と恋に落ちて妃となった。アーサーには自分と似たようなものを感じたのだろう。母はアーサーを愛情を込めて育てた。
アーサーは最初は母だと思っていた女性に対し、違和感を感じるようになった。
「母様はこんな容姿だったっけ」「自分が住む国はこんな景色だったっけ」
そう思ってしまった。アーサーの異変に気付いた女性は再びアーサーの記憶を完全に消去した。
妃の女性は完全にアーサーに酔っていたのだ。
「あなたはこの私のたった一人の息子なの！！」
毎日、毎日聞かされた。アーサーが自分に依存するために。もう何回聞かされただろうか。もうその言葉は聞き飽きたくらいだ。それはもう思い込ませる、というより「洗脳」だった。
夫となる王子はアーサーと女性のことなんて見て見ぬ振りだ。
それどころか女性に愛されてるアーサーに対し、嫉妬と憎悪を抱いているらしく女性の知らないところでアーサーに嫌がらせをしていた。しかし何をしてもアーサーは泣くことも怒ることもなく「お化けのせいだ」ということにいつも済まされていた。

(続きます)