キミの、価値しかない人生2

喧嘩2 ページ29

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「ワース兄様ぁ……！」

「ぅお、どうした？」



走ってきたAを軽く抱きとめる。目元に涙を溜めて、今にも泣き出してしまいそうだ。


誰だ俺のA泣かせたやつ。絶許





「オーター兄様がぁ……」



またアイツかよ。アイツ、人の気持ち考えねぇからすぐ泣かす。


「どうした。ワース兄様が話しを聞いてやるよ」


まあこうして自分の所に来てくれるので全然良いんだけどな。そのまま嫌われてろ。



ワースはAを落ち着かせるために頭を数回撫でる。





「兄様が、新しい髪紐をくれたんです」





髪紐か……。






それは、ワースの地雷原の1つだった。



自身の兄が、Aに渡したもの。初めてAが貰ったもの。




俺は、父さん達が怖くて渡せなかったのに、アイツは堂々と渡した。

悔しい。




それだけで、アイツと俺との差が大きく感じる。






「あー…良かったんじゃねぇか。それ、だいぶボロボロだし」





つい、素っ気なく返してしまう。






「………ワース兄様も、そう言うんですか？」

「は？」




Aはまた、目に涙を溜め始める。



あ？俺、今何かミスったか？




「うぅ………兄様のわからずや！！」


「は？！ちょ、まっ！」




＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

オーター兄様も、ワース兄様も、何も分かってない。





違うのに。





私がずっとコレを着けてるのは……





「＿＿どうした」




俯くAの頭上から低い声が降ってくる。





酷く、安心する声だ。









「……ランスさぁん……！！」






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