番外編 3話 ページ27
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『中也さんはどっこーかなー？』
放課後、国木田先生に呼び出されていた事もすっかり忘れ、私は中也さんを探していた。
放課後は真っ直ぐ帰るに尽きるし、中也さんは弄りがいがあるので、一緒に帰りましょうというだけだ。
『おっ、あの小さい人は中也さんだ。っと、隣に居るのは………？』
相手の顔をよく見ようとして、私は身を乗り出した。
その綺麗に整えられた顔を見た瞬間、何故か私の体に恐怖が走る。
キィーンという耳鳴りが鳴り、何かの景色が見える。
檻。
黒くて包帯だらけの男の人。
粗末な服を着た………多分、私。
誰がどう見ても、厭な思い出。
でも何時の思い出なのか、さっぱり判らない。
(私、あの人苦手だ。)
直感的に感じる、っていうのは、これの事なのか。
耳鳴りは止み、頭の中の情景もフッ、と消える。
前方から来ていた女子生徒が、私の事を不審げに見ながら通り過ぎた。
ずっとそこに突っ立っていたからだろうか、制服が違うからだろうか。
ふとこちらを見た件の人が、私を指差し中也さんに何か話しかける。
中也さんは此方を振り向き、私を見つけた様だ。
「よぉ、飾利。如何した？」
中也さんが此方にやってくる。
当然のように、その人も着いてくる。
来ないで。
思わず後ずさりをする。
「中也の知り合いかい？」
「まぁな。」
「そうか。私は太宰治だ。美しいお嬢さん、どうか私と心中を……！」
「黙ってろ糞鯖。」
二人はとても親しい様子。悪友、という奴か。
私は自分の名前を云わず、唯会釈しただけだ。
『私は唯、中也さんと帰ろうと思っただけで……』
「ンな事か。善いぞ。昇降口で待ってろ。」
「えー、私も飾利さんと帰りたいのだよ。」
「手前は武装生徒会があるだろうが。」
武装生徒会が何かは知らないが、出来るなら一緒に帰りたくない。
判りました、と頷き、私は昇降口へ向かおうと二人に背を向けた。
「……ねぇ、飾利さん。」
『…………何ですか。』
「私達、何処かで会った事あるかな？」
秀麗な笑みを崩さず、太宰さんが聞いてくる。
その笑顔には一点の曇りもなく、逆に云えば無視を許さない表情。
『……気の所為ですよ。私はそんな記憶ありません。』
早くその場を立ち去りたくて、私はダッシュで教室に鞄を取りに行った。
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (11月15日 17時) (
レス) @page25 id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 中也さんと主人公のやりとりめっちゃ好きです！特にニ●の映画のやつとかw (2023年2月12日 22時) (レス) @page18 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
アリウム - とっても面白くて好きですこういうの(^^) (2022年10月12日 20時) (レス) @page9 id: f86610be45 (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - パッピーセットで飲んでるコーヒー吹き出しそうになった… (2018年12月2日 18時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
きそ。(プロフ) - 飛鳥さん» (´ー｀*)ｳﾝｳﾝ コメントありがとうございます！ (2018年9月22日 17時) (レス) id: f82e2c13e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きそ。 x他1人 | 作成日時：2018年5月6日 23時
