10話 ページ13
.
『………暑い！！！』
前回のシリアスな雰囲気は何処へやら、私は今それよりも重大な悩みを抱えていた。
上記の通り、兎に角暑い。
お陰で、ポートマフィアの制服的存在である黒スーツ等着る気になれない。
つまり、黒スーツを着て出勤する等という馬鹿げた事は出来ない私は、ある人に一本の電話を寄越した。
『黒スーツ着れないので、休みます。』
その電話は秒速で切れた。
それから三秒と経たない内に、家のドアが勢い良く開いた。
彼の前では、鍵も無意味という事だろうか。
「………手前、相変わらず善い度胸してンな？」
皆大好き、中原中也幹部の御登場だ。
『中也さん、世の中には熱中症という恐ろしい病気が存在するんです。一度感染すれば、数日間高熱にうなされ、挙句の果てには焼け付く様な痛みの中、死んで行くんです。
そんな病に私がかかっても善いというんですか！？』
「手前一度「熱中症」でググれや。」
『あっ、中也さん。「熱中症」ってゆっくり云って見て下さい。』
「頭ン中既に湧いてンじゃねェか。」
駄目だ、どうにも気を逸らせない。
今日は絶対に出勤しないぞ。クーラーの効いた部屋で一日中リズ〇天国やってやる。
「首領から、全構成員にだ。」
『ん？』
中也さんがぴらっと出したプリントに、私は這いずりよる。
“ポートマフィア構成員諸君。いよいよ本格的に夏が始まってしまった。
調べによると、構成員の約85%が黒スーツを普段着用しているらしいね。
だが、この猛暑の中でその格好は、熱中症にかかる恐れがある。
私はこれでも元医者だ。そういった物にはより注意して貰いたい。
というわけで、気温にあった適切な衣服を着用する様、心掛けるように。
身体に異常を感じた場合は、直ぐにでも任務を中断しなさい。
間違っても、敵陣で倒れる様な事が無いように。
では、諸君らの検討を願っているよ。
ポートマフィア首領 森鴎外”
読み終えた私は、助けを求める顔で中也さんを見た。
中也さんは、首を横に振るだけだった。
首領。
その優しさが、今の私にとっては毒です。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1255人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (11月15日 17時) (
レス) @page25 id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
由良の門を - 中也さんと主人公のやりとりめっちゃ好きです！特にニ●の映画のやつとかw (2023年2月12日 22時) (レス) @page18 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
アリウム - とっても面白くて好きですこういうの(^^) (2022年10月12日 20時) (レス) @page9 id: f86610be45 (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - パッピーセットで飲んでるコーヒー吹き出しそうになった… (2018年12月2日 18時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
きそ。(プロフ) - 飛鳥さん» (´ー｀*)ｳﾝｳﾝ コメントありがとうございます！ (2018年9月22日 17時) (レス) id: f82e2c13e5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きそ。 x他1人 | 作成日時：2018年5月6日 23時
