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「ほんっとなんなのさ。
俺よりかっこいいとかやめてくんない？
俺の立場無いんだけど。」
「え、及川の方がかっこいいじゃん。」
そう何気なし放たれる言葉にもう一度項垂れる。
嘉元Aとは2年から同じクラス
でも俺たちは一年生のころから知り合いだった。
「間違ってリンゴジュース買っちゃった！！
オレンジの気分だったのにぃい！！」
自販機の前で握りつぶしそうな勢いで紙パックを持つ女の子に出会うシーンは後にも先にもこれだけだろう。
くそっ！！と赤い紙パックにストローを刺そうとする女の子の肩をちょんちょん、とつついた。
はじめは好奇心、ただそれだけだったのに。
「(うっわ、めっちゃタイプ)」
髪型も体型も顔のパーツもすべてがドンピシャの女の子だった。
「あ、自販機使います？」
スッとどいてくれた自販機で100円玉を一枚入れてオレンジのパックを購入した。
そして彼女の手の中にある赤いパックと入れ替えた。
「俺りんごの気分だったからそれ、あげるよ。」
今考えても身震いしたくなるような寒いセリフに後から後悔したけど、
さらにそのあとには言ってよかったな、と思った。
でも結局好きになればなるほどバレーと彼女を天秤にかける機会が増え、
彼女を傷付けないうちに諦めようと思った。
そして高校３年間で付き合った彼女はみんな、
小柄、黒髪ロング、前髪ぱっつんのかもっちゃんとは真逆の女の子たちだった。
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作者名：名も無き者
| 作成日時：2021年1月18日 21時
