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「うわ、どうしたの!?」
「梨花ぁああ!!」
部活前
体育館の隅で縮こまっていたアタシを見たキャプテンの梨花がゾッとしたような顔をした。
「なに?また及川?
私言ってんじゃん、及川はやめなって。」
「そうだけどそうじゃなくて!!」
アタシは梨花に今朝聞いた会話の内容を話した。
「なるほどね。
あんた前髪ないもんね。」
そう、アタシには前髪というものがない。
バレー部の暗黙の了解であるショートカットにまわりと同じ長さまで伸ばした前髪をセンター分けにしている。
「でもただのタイプでしょ?
前髪如きで振られるんだったらぱっつんじゃなくても振られてるって。」
「梨花が冷たい!!」
めそめそ泣き真似を続けるアタシに梨花は首を傾げる。
「まだなんかあるの?」
「なんか、というか・・・。
アタシたぶん及川のタイプと真逆なんだよね。」
そう、及川のタイプはアタシにとって致命的なものばかりだった。
まず体型は華奢で背の小さい子。
アタシはそんなに太っているわけではないし、バレー部の中でも細身な方だとは思う。
でも小学生の頃からバレーをやっている所為か、身長が172もある。
もちろんバレー界の中ではそこまで大きい方ではないけど世間一般的いえば小さいとは言えない。
次に髪型
今朝の情報も加え黒髪ロング前髪ぱっつんが好きということ。
さっきも言ったけどアタシの髪型はショートカットに前髪はセンター分け
もう勝ち目とは?って感じなんですけど。
「てか、なんでそんなに及川のタイプに詳しいのよ。」
「歴代の彼女たちがみんなそうだったからですぅううう!!!」
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作者名:名も無き者 | 作成日時:2021年1月18日 21時