休戦 ページ15
「なにやってんのさ。」
「ほんとなにやってんだろうね。」
アタシたちがインハイ予選の公欠の間に行われていた席替えで、
バレー部は公欠多いから(実質そうでもない)という理由でアタシと及川は窓際の一番前とその後ろという席になった。
インハイ予選の準決勝で新山女子に敗れたアタシたちと白鳥沢に敗れた及川たち。
結局どっちともあと一歩というところで全国行きは逃し、また学校で顔を合わせた。
決勝まで進んだ男バレはアタシたちより1日遅く学校にきたのだが、
アタシの横に置いてある松葉杖を見た及川の顔は綺麗に歪んでいた。
「あと1点だったのに。」
「・・・・・・。」
「あそこでこけなかったら勝てたのに。」
「・・・・・・。」
「しかもこけた原因汗だよ?
ダサすぎない?
もう笑うしかないわ。」
なにも言わない及川にゆるく笑いかけて、カバンの中から教科書を出した。
「笑えよ。」
「・・・・・・笑ってるよ。」
「笑ってねぇよ。」
いつもの及川らしくない口調で言葉を吐き捨てる。
やめてよ、痛々しいじゃん。
「泣きそうな顔で笑うな。」
「明朗快活な笑顔じゃん。」
「明朗快活の意味わかってから使って。」
スマホを取り出して、
〔 明朗快活 意味 〕
と検索をかける。
【明朗快活】
明るく元気であるさま
「間違ってないじゃん。」
「この世の終わりみたいな顔してる奴が使う言葉じゃありませーん。」
なにそれ、と笑うと少し安心したようにアタシの一個後ろの席に座った。
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作者名:名も無き者 | 作成日時:2021年1月18日 21時