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「Aさん！
暇ー？
ランク戦しようぜ！」
「残念、今から任務なんだなこれが。」
本部に行くと必ずと言っていいほど出会す米屋に軽く手を振って通り過ぎる。
悔しそうに舌打ちをする米屋から離れ、エレベーターを待っていると軽薄そうな男が隣に並んだ。
「そこのお姉さん。
暇？
お茶でもどう？」
「そうねー、イギリスにでも連れて行ってくれるならいいかしら。」
「それは勘弁。」
安い冗談に首を振る迅は珍しくぼんちあげを持っていない。
「あれ？
ちょっと怒ってる？」
「わかってるくせに。」
「それは参ったな。」
乗っていたエレベーターは1階についた。
後ろをついてくる迅に構わず足速に外の自動販売機コーナーを目指す。
無言で小銭が流し込まれた自販機で、これまた無言グレープサイダーのボタンを押した。
こんな寒くなっても定期的に炭酸は飲みたくなるから不思議だ。
「あの子たちには失礼だけど、風刃を渡してまで引き込むほどの魅力を感じられない。」
「Aセンパイは厳しいからなー。」
「茶化さないで。」
カシュっと爽やかな音を立てるサイダー
中からはグレープの甘酸っぱい香りが漂ってくる。
「A。」
真剣な顔
この顔をする迅にはいつも勝てない。
「アイツらはいつかお前を助けてくれる。」
「またお得意のサイドエフェクト？」
「ちがうよ、俺の勘だ。」
いつも大事なことはなにも相談してくれない迅にすこしの悔しさと、大事なことを相談してもらえない自分の不甲斐なさに自然と涙がこぼれた。
目の前のこいつは困ったように眉を下げて、しずかに私の涙を拭った。
「あ、」
「あ、」
「あ、」
「「「･･････。」」」
しっとりした空気が流れるその場に、タイミング最悪な男が現れた。
「もしもし、風間さん？
自動販売機の前で迅がA泣かせてる。」
「待て待て待て、太刀川さん？」
「風間さん、助けてー。」
「Aも悪ノリやめて！」
・
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作者名：名も無き者
| 作成日時：2024年3月21日 2時
