女帝［ワールドトリガー］ (ページ7)

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「蔵内くん、これ昨日の議会の議事録。」

「さすが、辻。

仕事が早くて助かる。」

「ふふ、お褒めに預かり光栄です。」

教室二つ分の広さを誇る会議室は、

几帳面な会長と副会長により常に綺麗に保たれており、

どんな作業もしやすくてお気に入りの場所だ。

「そういえば、辻に預かり物だ。」

「アタシに？」

「ああ、名前は聞いてないんだが、たぶん後輩だ。」

差し出されたのはなんの変哲もない紙パックコーヒー。

だけど、気になることが一点。

「あ、それたぶん山下くんですよ。」

副会長の綾辻遥が、

アタシの手の中に収まったベージュのパッケージを見て声を上げた。

「山下くん？」

「私のクラスメイトです。

熱烈なA先輩ファンで、

前に一回声かけられたんですよ。

先輩はコーヒーはブラック派かって。」

なるほど。

それで印象ブラック派のアタシにカフェオレなんていう差し入れをしたのか。

でも、

「蔵内くん、これあげるわ。」

「いや、自分で、」

「アタシ素性の知らない人からの貰い物は体内に入れたくないの。」

「徹底ぶりが芸能人レベルだな。」

頑なに蔵内くんに押し付けるアタシをみて、

ため息を一つこぼし可愛らしいパッケージを受け取った。

「遥はその山下くんにアタシの好み教えたの？」

「いえ、そういうの嫌がりそうだなって思って、

差し入れはやめた方がいいよって言ったんですけど。」

「さすがアタシの遥。」

遥はアタシの好みをその子に教えていない。

なのになぜその子はわざわざカフェオレを買ったのだろうか。

たまたまか。

はたまた誰かに聞いたのか。

「蔵内くん、これからは何も受け取らないようによろしくね。」

「ああ、悪かった。」

「ううん、遥がすごいのよ。

アタシだって蔵内くん宛に渡されたら受け取っちゃうもの。」

彼の手の中に収まった紙パックをもう一度見て、

遥と同じクラスの子に情報収集をすることを密かに計画した。

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