影浦家のYDK[ワールドトリガー］ (ページ36)

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「卒業おめでとう。」

「おー。」

卒業証書の入った筒を掲げ、

ボーダー隊員で集まっている集団を遠くで見つめる影浦兄妹。

その中には数ヶ月前に入隊した葉月の姿も見受けられる。

「まさとくんはあんなか行かなくていいの？」

「どうせ光とかゾエ当たりが呼びにくんだろ。」

高校を卒業してもボーダーにはい続けるので、

卒業という実感やレア感はあまりない。

そもそもボーダー関係者以外で学校に友だちのいない影浦は、

卒業はただの区切りにでしかなかった。

「てか、あいつすげえ馴染んでんな。」

「ニーナは天才だ。」

今や国近に頭を撫でられて嬉しそうに笑う葉月は、

現在ボーダーでAとチームを組み、

B級ランク戦をすごい勢いで勝ち上がっている。

おとなしくて引っ込み思案のAと

明るくて社交的な葉月。

一見正反対な二人だが、

チームを組むといい感じになるのが面白い。

「ニーナすっごいモテるんだよ。」

「･･････。」

「この前もニーナと二人でいたら声かけられた。」

「おい、それいつの話だ。

んなこと聞いてねえぞ。」

面倒臭い雰囲気を出し始めた影浦に、

すぐに葉月の元に避難した。

「あれ、Aどうしたの？」

「ごめん、葉月。」

「えー、なになに？」

「影浦また怒ってんのー？

やーい短気ー！」

「国近ちゃん、煽るのやめて。」

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