影浦家のYDK[ワールドトリガー］ (ページ23)

今日:7 hit、昨日:18 hit、合計:78,785 hit

23 ページ23

・

4歳の時に出会った女の子はすごく変な子だった。

「女の子のおともだちすごくうれしい！！」

外に出るのは好きじゃなかった。

それはまさとくんがサイドえふぇくとなる不思議なものを持っていたから。

他人からの視線を感じるまさとくんはすごく辛そうで、

見ているこっちまでしんどかった。

そんなAたちの苦労も知らない葉月は、

毎日のように家に押しかけては、

Aたちを外に連れ出した。

大きな滑り台のある公園、

しわしわの手でおまけしてくれるおばあちゃんがいる駄菓子屋、

ものすごく大きい葉月の家、

死ぬほどバッタのいる空き地

どこに行くのも初めてで、

どこに行くのも楽しかった。

葉月といれば毎日がワクワクだった。

「Aって国語できないのに、

算数のテストはいっつも満点だよね。」

「字、読めないの。」

今となってはそれが発達障害の一種だということを知ったが、なにもしらなかった当時はひどく落ち込んだものだ。

「算数できるからいいじゃん！」

お世辞でも、

嫌味でもなく葉月はAが算数のテストで満点を取るたびに羨ましがるから、

ああ、別に国語できなくてもいっかって思った。

きっと彼女には不思議な魔力がある。

どれだけ辛いことも、

悲しいことも、

まあいっか、と思わせてくれる不思議な魔力。

・