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「あれ、ここ、どこ？」
「病院だ。」
「まさとくん、」
白い空間で目を覚ましたAを見て、
影浦は枕元にあるナースコールを押した。
「病院？」
「いつものあれだ。」
「今回は何日？」
「1週間。」
ナースコールから間も無くしてやってきた看護師は、
一緒に長年Aを担当している医師も連れてきた。
「よかった目が覚めたんですね。」
「お久しぶりです、先生。」
「うん、お久しぶりです。
どこか気になるところはありますか？」
「喉が渇きました。」
「ふふ、すぐにお水を用意してもらいましょう。」
もうそろそろ80代に差し掛かる
柔らかい笑みで診察し、Aに異常がないことを確認した。
「異常はないようです。
今回も精神的なことが原因でしょう。」
「先生、夢でニーナが出てきたの。」
「そうですか。」
「うん。
ありがとうって言ってました。
またねとも言ってたからまた会えるんだと思う。」
「きっと会えますよ。」
分厚い手で彼女の頭を優しく撫でた後、
白衣のポッケから飴玉を二つ取り出し、
Aと影浦にひとつずつ手渡した。
「A、レモンがいい。
まさとくん変えて。」
言うが早いが、
影浦の手から飴玉を奪い、大事に自分のポケットに仕舞い込んだ。
その様子を見ていた看護師と大沢からむず痒い視線を受けた影浦は、
居た堪れなくなりいそいそと病室から退出した。
「優しいお兄ちゃんですね。」
「自慢の兄です。」
「ふふ、羨ましいです。」
自分の周りの人間は暖かい。
兄も親もともだちも担当医も看護師も。
なのに自分はこんなにも冷たい。
Aの中にある後ろめたい気持ちは、
長年彼女を見ていた担当医には筒抜けだった。
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ミア(プロフ) - 最後まで読まさせていただきました、とても面白かったです…！私もカゲさんみたいなお兄ちゃん欲しい。 (2021年4月27日 20時) (
レス) id: a54375d2e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名もなきもの
x他1人 | 作成日時：2021年4月17日 0時
