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「つ、きしま先輩。」


ふっと力を抜いて上を見上げる。

それに気づいた先輩は優しく頭を撫でてくれた。


「え!烏野の月島さん!!?」

驚いた声を発する村田くんに自分も驚く。

「先輩、知り合いなんですか?」

「知らない。」

一瞬の即答はどこか冷たく、

知らない、というよりかは認知しないという感じだった。


「俺白鳥沢バレー部の控えメンバーなんです!!」

「ふぅん。」

「うわー、近くで見るとまじででけえ。

俺もミドルブロッカーなんですけど、」

「ねえ。」


興奮したように勢いよく話す村田くんを、先輩が冷たい声で制す。


「もういい?

君と話す時間なんかないんだけど。」

「あー、すいません。

てか、菅原って月島さんと付き合ってんの?」

「そうだけど、」

「まじかぁー。

あ、もしかしてあれ?

好きな人ができたから垢抜けた、みたいなやつ?

お前昔まじで目立たなかったのに、今じゃ別人だもんな。

やっぱり女子って、」

「うるさいんだけど。」


ベラベラベラベラ勝手に回る口。

気分が悪くなりそうな声を遮るように、

月島先輩の大きな手が私の耳に蓋をした。


「君モテないでしょ。」

「・・・は?」

「Aが目立たなかったんじゃなくて、君の見る目がなかっただけだから。

大体君がこの子の何を知ってるのか知らないけど、今は僕のだから。

勝手な憶測で傷つけるのやめてくれる?

不愉快。」


パッと抑えていた手を離して、

代わりに私の手を捕まえた先輩は村田くんの横を通り過ぎた。


数歩いったところで立ち止まり、くるりと振り返って口を開いた。


「まあ、君みたいなのにAの魅力がわからなくてよかったよ。」





・→←落ちた先に出会い、愛 × 自信の付け方



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作者名:名もなきもの x他1人 | 作成日時:2021年3月14日 22時

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