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「うん、正解。」
「なにか後悔したんですか？」
それは恋愛で、ということなのだろう。
「うーん、うん？」
「どっちですか。」
惚れ惚れするような爽やかな笑いをこぼして、
あたしの前の子の席に座った。
ずっと後輩と思っていたが、
こう座ってみると同級生となんら変わりはない。
「進路調査書、ですか？」
「うん。
今日までなんだよね。
反則で親にサインと印鑑はもらってきたんだけど。」
「ズルですね。」
「ズルですよ。」
プリントの四角の中は空欄のままで、
この空欄をあと３つも埋めないといけないと考えると憂鬱になる。
「幸村くんはこのまま立海大進んでテニスやるの？」
「たぶんそうですね。
テニスでぶいぶい言われてるので。」
「その表現気に入ってるね。」
「おもしろいじゃないですか。」
「そうかな。」
幸村くんから視界を外して黒板の上に掛かっている時計を見る。
古典的な丸いアナログ時計はもう16時40分を指していた。
「そろそろ書かないと本格的にやばいなー。」
「やりたいこととかないんですか？」
「まったくない。」
「即答･･･。」
.
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作者名：名もなきもの
| 作成日時：2021年3月14日 17時
