今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:10,251 hit
小｜中｜大
11 ページ11
.
「先輩。」
「こんばんは、幸村くん。」
20時過ぎ、と言っていたのに彼は20時ぴったりに裏口に出たあたしを出迎えてくれた。
「どうしたの？」
「なにがです？」
「どうしてあたしを待っていたの？」
今日も
2年前も
「先輩、ひどいですよ。」
「なにが？」
「なにも言わずに行くなんて。」
「また会いましょう。」
「ばいばい。」
2年前
" また "という言葉を使った幸村くんにあたしは頷けなかった。
それはもう会いたくない、という意思表示でもあった。
「幸村くん、はっきり言うね。」
「はい。」
「あたしはきみとは付き合えない。
きみと恋はできないんだよ。」
勝手な言葉は小さな沈黙を生む。
初めて彼が声を掛けてくれたとき。
たしかにあたしの中で愛が誕生した。
しかし、それは恋へと成長しなかった。
いや、させなかった。
「先輩は、愛が先なんですね。」
「ん？」
「俺は恋が先だと思います。」
「あー、」
「恋に落ちて、愛を育むんじゃないんですか？」
突拍子のない質問
でも、それに答えたところであたしの意思は変わらない。
「幸村く、」
「先輩、教えてください。
幸村くんの目は初めて屋上で会った日からなにも変わっていなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名もなきもの
| 作成日時：2021年3月14日 17時
