めらちゃん先輩【ワールドトリガー】 (ページ15)

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Emergency ページ15

「はい、外村(とのむら)。」

Aの言葉を遮るように鳴り響いた橙子の携帯

それに答えた橙子は目を大きく見開いた

「A、緊急出動よ。

近界民による大規模侵攻が始まった。」

「忍田さんから？」

「替わる？」

「うん。」

迅の予知で起こるとわかっていた大規模侵攻が起こった

Aは決して忘れていたわけではない

だが、平穏な暮らしの中にそのような暗い影はあまりにも似合わなかった

「橙子ちゃん、携帯ありがと。」

「気をつけてね。」

「橙子ちゃんも基地から出たらだめだよ。」

「そんな怖いことしないわよ。」

玉狛第一のメンバーと合流しろという

忍田から出された指示に従うべく、

Aは医務室の出口に向かった

「A。」

「ん？」

「ちゃんと帰ってきてね。」

Aを6歳のころから知っている橙子にとって、

異世界への門(ゲート)というのは、

一種トラウマのようなものでもある

たまたま母からの預かりものをAの家に届けに行ったあの日

涼雅が取り乱してひとりで帰ってきたあの日

橙子は自分の心臓が止まったと錯覚した

Aが近界民と戦う姿を見るたび、

また彼女がなにかの拍子で門に消えていくのではないかと思わずにはいられなかった

「当たり前でしょ。

私は有郷A。

涼雅の妹でボーダー内トップ3に入る攻撃手だよ。

橙子ちゃんがコーヒー飲んでいる間に帰ってくるよ。」

これ、預けとくね。

首に掛かっていた重そうなカメラを橙子に預ける

大事にそれを受け取った橙子を見て、

Aは満足そうに微笑み、今度は確かに医務室を出た。

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