落ちた先に、出会い、愛［ハイキュー!!］

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「･･･ない。」

「なにが？」

「勝ち目が1ミリもない。」

「例のかわいい系の先輩？」

「うん。」


ザーザー降りしきる雨

湿気が癖のある毛を膨張させる。


「元気出しなよ。

Aの性格上略奪とかは無理だと思うから、

新しい恋に踏み出そ。」

「ゆうちゃん･･･！！」

「ほら、高島とかどお？」

「ゆうちゃん･･･！？」


5時間目の生物からぶっ通しで寝続けている高島くん

雨の日に眠くなるのはみんな同じらしい。


「なんか身近な人で済まそうとしてない！！？」

「でも、高島って優良物件よ？

バスケ部で身長も高くて、運動神経いいし。

勉強はめちゃめちゃできるってわけでもないけど、

できないってわけでもないし。

クラスでも頼れるリーダーみたいなポジションだしさ。」

「高島くんのいいところを聞けば聞くほど私の自信が無くなっていく。」

「あんた面倒くさいわね。」


キミ、面倒くさいね。


あぁ、だめだ。

月島先輩のことを知ってしまったら、

知らなかった日々にはもう戻れない。



「ゆうちゃん。」

「ん？」

「私、月島先輩が好き。

たとえこれが叶わない恋だとしても、

この気持ちを忘れることなんてこの先一緒無理だよ！！」

「そっか。」


溢れ出る涙を見て、

ゆうちゃんは優しく頭を撫でてくれた。


高1の夏

はじめての恋に幕を下ろした。

呆気なく、

それでいて濃かったこの恋は、

顔を顰(しか)めるほど苦くて、

胸焼けがするほど甘かった。



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