・ ページ23
「寝てないでしょ。」
隊室に入ってきたアタシを見た詩月さんは、
いつもと変わらない表情で挨拶より先にそう言った。
「忙しかったから。」
葬式にお通夜に告別式
おばあちゃんや親戚の人たちと一緒にいろんなところを駆けずり回って、
式当日は涙を流す間もなく終わってしまった。
基地に来たのも実に1週間ぶりだった。
「ランク戦行ってくる。」
「･･･。」
アタシのことをなんにも言わずに見送ってくれた詩月さん
その表情は心配の色が含まれていた。
結局高校生のアタシが弟たちの面倒をひとりで見るのは無理があるので、
今まで住んでいた家は売りに出して、
弟たちは母方の実家に引き取られることになった。
アタシは本部で部屋を用意してもらえるらしい。
「影浦さんだ。」
「チッ。」
「顔合わせて一番に舌打ちってひどくない？」
ランク戦ブースの前に設置されているソファーでぼーっと座っていた影浦さんの様子を見るに、
ランク戦しにきたのに相手がいないようだった。
可哀想に。
「お前、いま舐めたこと考えただろ。」
「なんのこと？」
「チッ。」
影浦さんの座っているソファーの背もたれに肘をついて、
目の前に広がる数字の羅列を見る。
「影浦さん、ランク戦しよーよ。」
「･･････。」
その問いかけには返事しなかったが、
立ち上がった姿を見て、どうやらアタシのお誘いはオーケーされたみたいだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ラピス(プロフ) - 初コメ失礼します。端的に言うと、カゲさんイケメンかよ…！応援します！ (2021年2月14日 18時) (
レス) id: 2aba3889f7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆのみ(プロフ) - アニメも再開してワートリ熱が再度温まってきたところにドスっと刺さりました。陰ながら応援しています！ (2021年2月12日 22時) (レス) id: 20ed7c05bd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名もなきもの
| 作成日時：2021年2月11日 21時
