伊達の鉄壁女子［ハイキュー!!］

15 ページ15

「はぁぁあ。」

その場にしゃがみ込む二口くんに後悔が募る。

やっぱり迷惑だったんだ、と涙がまた溢れる。


「まってまって、泣かないでください！」

「泣いてない。」

「それは無理がありますよ。」


立ち上がって大きな手が私の頬を包む。

不意に触れた暖かさに身が竦む。


「あ、すいません。」

「私男の人に触れられるの苦手なの。」


私の涙を拭っていた手が持ち主の方へ戻っていく。

ちゃんと言いたい。

あのときみたいに払って、二口くんを傷つけたくない。


「小学生のときに担任にセクハラされて、

そこから男の人の手が怖くなったの。」

「･･････すいません。」

「二口くんはなんにも悪くないよ。

でも、私の気持ちに答える気がないなら優しくするのはやめて。」


早く涙を止めたくて小さく息を吐くけど、

その効果は一向に見られず。

投げやりな告白の結果は聞かなくてもわかるので、

これ以上醜態を晒す前に帰ろうと決めた。


「じゃあ、私はこれで、」

「はい、わかりました。

なんて言うと思ってたんですか？」


やけに喧嘩腰の物言いに足は踵を返せず。


「聞き逃げの言い逃げなんてずるいですよ。」

「なにが？」

「部活に集中したい、なんて告白断るときの常套句ですよ。」

俺、いっつもこれで断ってますもん。

その言葉は彼がいかにモテるかを示していた。

モテ男滅びろ。



「先輩が勘違いするならこれからはこっちじゃなくて、こっち使います。


俺、好きな人いるからって。」





.

16→←14

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す