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黒尾さんと出会ってから1週間
なにかお礼を、と思い色々考えた。
社会人のお礼の鉄板と言ったらやっぱりご飯を奢ることなんだろうけど、
最近仕事が忙し過ぎて一緒にゆっくりごはん♡なんて悠長な時間は微塵もない。
このままでは一生お礼が出来ない気がするので、
昼休みにバッグを引っ掴み近くのデパートに走った。
そしてちょっとお高いお酒を数本買い、
ついでに美味しいと評判のチーズも一緒に買った。
黒尾さんには少しだけ会えないか、とLI○Eを入れておいた。
黒尾18時まで仕事だからそれ以降なら
というメッセージを見て、18時半にうちの会社の前で待ち合わせることに決まった。
とりあえず18時半までに仕事を一区切りつけたいので、お昼休み返上でがむしゃらに働いた。
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「久しぶり。」
「お久しぶりです。」
黒尾さんはあの日と同じようにばっちりとスーツを着こなし、
会社の前に寄せたミニバンにもたれかかっていた。
この人はなにをしても絵になるからムカつく。
「すいません、お礼なのにわざわざ出向いてもらって。」
「全然、むしろ気使わせちゃってごめんな。」
「い、いえ!」
黒尾さんの前に紙袋を差し出した。
「これ、もし良ければ赤葦さんと一緒に飲んでください。
お口に合うかわからないんですけど。」
「おー、お酒?」
「はい。
本当はご飯でもご馳走しようと思ってたんですけど、私の仕事の折り合いがまだ全然つきそうにないんで。」
「いや、俺も赤葦も酒好きだから嬉しいわ。」
ありがとな、と頭を撫でてくれたので、
昼休み返上で働いてよかったと心の底から思った。
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Shuka(プロフ) - また次回作も楽しみにしています! (2021年1月18日 7時) (レス) id: e262deccef (このIDを非表示/違反報告)
Shuka(プロフ) - こんにちは。内容、文章の作り方、クロの話し方、主人公の気持ちの書き方等見ていて全て好みでこんなに作品にのめり込める短編は無いなと思うくらいでした。普段長編の方が好きで短編は全く読まないし推しは研磨ですが何故か惹かれ呼んだら素敵な作者様に出会えました。 (2021年1月18日 7時) (レス) id: e262deccef (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜色(プロフ) - 面白そうです。頑張ってください! (2021年1月17日 9時) (レス) id: de5cad5b88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名も無き者 | 作成日時:2021年1月17日 8時