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『何やってんの、早く入って』






びしょ濡れの私に驚きながらも、昌磨はすぐに私を家に入れてくれた。







『タオル取ってくるからそこいて』

「…うん」




ぽつん、と玄関に取り残された私は今更後悔する。





何やってんだ、と。





いきなりびしょ濡れな私が来て、きっと昌磨も迷惑してる。









『ほんとに何やってんの…』







ワシャワシャとタオルで私の頭を拭いてくれる昌磨。



二枚目のタオルを私の肩にかけると、『上がって』と言った。









『そのままじゃ風邪ひく』

「…うん」







大人しく従い、昌磨の後をついていく。




連れてこられたのはリビングではなく、昌磨の部屋だった。



やりかけのゲームが机の上に放置されている。









『服乾かさないと。…俺の貸すからそれ着て』





はい、と手渡されたジャージを受け取る。







『着替えたら声かけてね』






パタン、と閉じられたドアを見て「裸なんて何回も見てるくせに」と思う。



こういうときにそんな気遣いはずるい。









悶々としながらジャージを着てると、ふわっと昌磨の匂いに包まれた。









私の好きな、安心する匂いだ。









『まだー?』

「あっ、もういいよ」






入ってくるやいなや、私の姿を見てぷっと吹き出す昌磨。




何よ、何がおかしい。








「……なに」

『ジャージ似合わないね』

「うるさいよ」



少し余った裾を握りしめながら言い返すと、呆れたように笑いながら私の濡れた服を持って行った。









昌磨がここまでしてくれるのは意外だった。





てっきり、タオルだけ貸してくれて後は帰ってとか言われそうなのに。












『A〜ドア開けて』

「はいよ」






のそのそとドアを開けると、お盆を持った昌磨がいた。


どうやらココアをいれてくれたらしい。









『寒かった?』

「めっちゃ寒かった」

『そういうと思って。…はい、ココアでーす』








ずい、と差し出されたココア。


湯気が立っていて、匂いだけでも美味しそうだ。









「ありがと」




それを受け取ると、昌磨はそそくさとゲームを始めた。






昌磨の隣に座り、ココアを飲んでいると段々落ち込んでいた気持ちも薄らいできた。








…なんか、こうやって2人でのんびりするの久しぶりかも。

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ここあ(プロフ) - 続きがきになります! (2018年5月21日 17時) (レス) id: 5c003d2ed5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - お話にすごく引き込まれました!更新待ってます!!これからも頑張ってください! (2018年5月7日 23時) (レス) id: 131c1dfec7 (このIDを非表示/違反報告)
厨二病(プロフ) - このお話とても私の好みで大好きです!更新頑張って下さい!応援してます! (2018年4月15日 16時) (レス) id: 660c61ccc2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽて丸。(プロフ) - ゃんゃんさん» ありがたいお言葉です(;_;)はい!全力で頑張ります! (2018年3月26日 12時) (レス) id: 97f234e904 (このIDを非表示/違反報告)
ゃんゃん - このお話の切なさが大好きです! これからも頑張って下さい♪ (2018年3月26日 10時) (レス) id: 3747216fb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽて丸。 | 作成日時:2018年3月12日 22時

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