【歌い手】男装海賊少女は黄を望む

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センラ「づ、あっ！！」




重い拳がセンラの腹に食い込んだ




センラ「っ、あ………」




哉風たち人狩りのアジトに連れてこられてから約半年




その間にセンラは三度、幼いながらも整った顔立ちにより大金で買われた




しかし、三度とも二ヶ月ほどで返品されてしまった




理由はひとつ




センラが、容姿以外に何も持たないからだ




元は貧民街で育ったセンラ




格上の相手への接し方、食事のマナーなどはすべてわからない




あるときは貴族の男の側に立ち、その容姿で男の財力を見せしめるために買われた




またあるときは子爵の娘の従者として買われた




しかし、男のところにいるときは接し方が分からず男の客へ失礼な態度をとってしまい返品




娘のところにいるときは彼女に怪我をさせ、さらには彼女を泣かせてしまい返品




返品されるたび、センラには躾がされた




ここで買われる者たちは基本労働や性処理のためなので接し方などの躾をする必要はない、と最初は何も教えられない




しかし、返品されるとされた理由を元の“飼い主”に聞きそれを改善させるために躾をする




哉風「……お前、そろそろ不良品かな？」




床に倒れ込んで痛みに耐えているセンラの髪を掴み顔をあげさせて哉風は言う




哉風「……お前はその外見を売りにしてたけどさ……いっそ“愛玩道具”として売ってもいいかもな」




センラ「ひ、ぁ………」




愛玩道具、なんて




もう人間として生きてるのではなく




主人の欲を満たすだけの物




そんなの、嫌だ




センラ「ごめ、なさ……っ、ぼく、今度は、返品されん、から……あいが、ん、どうぐ、には……しないで、っ！！」




哉風「へぇ……なら、次が最後のチャンスだ。次に返品されたらお前は愛玩道具として売ることにする」




センラ「っ、……は、ぃ……」




もう、ここには帰ってこないように




完璧な自分で




そんなセンラを次に買ったのは月夜国から山を二つほど越えたところにある国の公爵家だった









公爵家に買われてから半年




センラは今までの事を生かし、半年間完璧に過ごしていた




言葉遣いも、愛想笑いも、接待も、すべて




センラ「……僕なら、できる」ﾎﾞｿｯ




自分に言い聞かせるように呟く




……しかし、そう上手くはいかないのが現実




公爵「……はぁ、ダメだな。センラ、お前を返品する」




センラ「っ……！」




センラは、屋敷の召使いたちに濡れ衣を着せられたのだった

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