【歌い手】男装海賊少女は黄を望む

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その日、僕は躾部屋へと連れていかれた




待っていたのは勿論暴力だ




叫んだって誰も助けに来てくれない




体も、精神もボロボロになっていく




時間がたつにつれて麻痺していく痛み




気絶しそうになれば叩かれる




涙で濡れた顔を拭うことすら許されない




彼のいる地下牢へ戻ってこれたのは、6時間後だ




『っ、センラ！？』




薄い意識の中で彼の声が聞こえる




抱えられた僕の体は動かない




牢の開く音が聞こえて、中に投げ入れられた




『おいセンラ！！しっかりしろ！！』




抱き起こされる感覚




哉風「明日も来る」




哉風サマはそう言うと地下牢を出ていったようだ




『っ、くそ……っ！！おい、センラ、しっかり！』




センラ「ぅ…あ、Aく……？」




『ああ。そうだよ。大丈夫…じゃないな。……ごめん、俺のせいで……』




うっすらと目を開けると涙ぐんだA君の顔がすぐそこにあった




そろそろと腕を上げて彼の頬に添える




センラ「君のせい、やないよ……もとは、僕のせいやから……泣かんといて……？」




ポタリと彼の滴が頬に落ちた




ああ、どうして泣き止んでくれないの？




僕は君の笑った顔が好きなのに




君にそんな顔をさせているのは誰？




……僕、か




『……センラ、今日はもう休め。疲れてるだろ』




センラ「……うん、あり、がと………」




遠のいていく意識の中、どこかからｷﾞｨｰｰと音がした気がした




足音が、聞こえる




『っ、お前っ！！』




その声に、閉じようとしていた瞼を開ける




がチャリと鍵が開いて牢に入ってきたのは




哉風「よォ、早速だけどついてきてもらうぞ」




さっき出ていったばかりの哉風サマと、数人の男だった




『何のようだ』




哉風「センラをこのあとの売買で売ることになった。それとおまえは…躾部屋だ」




『は』




躾部屋？




センラ「っ、なん、で……」




痛む体を起こして哉風サマを見た




センラ「A君に、は、躾はしない約束、やろ！！」




哉風「ああ？んなのしてねーよ。俺が受け入れたのはお前を躾すること。こいつを躾しないとは一言も言ってねェ」




センラ「っ！」




ハメられた



最初からそうするつもりだったんだ




哉風「来い。俺が直々に躾てやる。お前たちはセンラを連れていけ」




『っ、離せ！！センラ！！センラ！！』




センラ「A君！！！」




暴れて抜け出そうとしてもダメだった




彼との距離が、離れていく




なんで、なんで僕は守れないんだ

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