【歌い手】男装海賊少女は黄を望む

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突然だった




辺りを見回していた目が、あの人たちをとらえた




あのときと同じ額布を付けて獲物を探していた




ああ、だから来たくなかった




あの人たちに会う可能性が高かったから




思い出したくもない過去




汚れた自分を嫌悪していたあの頃




一瞬だが目があった気がした




……いや、きっとあいつらは僕を見つけただろう




その証拠が今の状態




A君と歩きながらこっそり後ろを見るとちらりと額布の先が見えた




……狙いはきっと僕だ




A君に迷惑はかけられない




捕まりたくもないけど




それでもA君に、俺の過去を知られるのは嫌だから




君みたいに輝いていて、人を助けることができるわけでもない自分




センラ「……A君」ｺｿｯ




『ん？』ｺｿｯ




センラ「この先にT字路あるの分かる？」ｺｿｯ




『……ああ』ｺｿｯ




センラ「そこで二人に分かれよ。分散させてそれぞれ倒して事情を聴いてから後でここで集合」ｺｿｯ




『…分かった俺は左に行くから』ｺｿｯ




純粋に向けられる信頼




僕はそれを裏切ることになる




辛いし苦しい




けど、今だけは許して




…もうすぐ、T字路だ




『ちゃっちゃと倒して船に戻ろう』ｺｿｯ




センラ「…そうだね」




戻れるかは、分かんないや

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