86 ページ38
看「もう大丈夫ですね」
Aが目を覚ましてから、直ぐに診察が始まった。
医「身体には全く問題ありません」
そう。身体には、問題ない。
いつものように個性で傷を治し、驚く程早く回復した。
相「じゃあ、行くぞ」
『･･････』
手を握って病室へと戻る。
目が覚めてからというもの、自分で話すことも、自分の意思で動くことも無くなった。
言われたことを淡々のこなすだけで、まるでロボットだった。
病室へ戻って手を離しても、何をするでもなく、ただ突っ立っている。
相「座っていいんだぞ」
『･･･････』
相「座って」
こういって初めて座る。
何かに怯え、戸惑っているような表情でいつもいる。
相「話してくれよ、！」
Aの手を握ると涙が出てきた。
生きているのに、その実感を忘れさせるようにAは声を発さない。
ポタッ
その時、俺の手に水滴が落ちてきた。
相「っ！！」
水滴は、Aの涙だった。
Aが泣いているところを見るのは何年ぶりだろうか。
いや、見たことすらないかもしれない。
『･･･････』
相変わらず無表情で、無言なことには変わりないが、確かに涙を流していた。
相「そうだよなぁ、辛いよなぁ、っ、」
涙が止まらなかった。
相「助けてやれなくてすまなかったっ、、」
その場にいた爆豪の証言で、何をされていたのか大体の察しがついていた。
恐らくは実験と続きといったものと、クソどものストレス発散に使われていたんだろう。
確実にやせ細った体から、ポロポロと涙がこぼれていく。
たかが16、高校1年で、まだまだ未熟で、未来への希望とか今の楽しさで青春しているはずの歳だ。
俺たちが思っているよりも、心は脆く、幼かったりする。
そんな時期に、過去のトラウマを抉るような思いをさせてしまった。
『･･･････ないで、』
「え？」
その時、Aの指先が、確かに俺の涙を拭った。
『････泣かないで、･････ごめんなさい････』
そう呟いた。
その後すぐに、また考えることをやめたものの、確かに進歩はあった。
相「そうだよな、泣いてても何にもならないよな、」
何度この優しさに救われただろうか。
相「、、ちょっと待ってろ」
その後、Aが自主的に動き、話したことを医師に伝えた。
主治医によると、心に限界値を超えるストレスがかかったことで、身を守るために思考することを停止した、と考えられるらしい。
ぐっと、寄り添っていく覚悟を決めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 163人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なっぱ(プロフ) - 掛け持ち魔ﾁｮｺﾐﾙｸ ﾁｮｺﾐﾝﾄ味 2号さん» ありがとうございます！活動の原動力になります！大好きだと言って貰える作品にできているんだ、って舞い上がりした笑笑 拙い文章ですが、これからも楽しんで貰えるように頑張りますね！ありがとうございます！！ (2022年2月4日 20時) (
レス) id: 2df58a6fe1 (このIDを非表示/違反報告)
掛け持ち魔ﾁｮｺﾐﾙｸ ﾁｮｺﾐﾝﾄ味 2号(プロフ) - この小説大好きです！無理せず更新してくださいね。待ってます！ (2021年8月30日 16時) (レス) id: 95a5030b9b (このIDを非表示/違反報告)
なっぱ(プロフ) - あつさん» そう言って頂けて幸いです！ありがとうございます！！話の軸もブレブレですがこれからも面白いって思って貰えるように頑張って書いていきます！ (2020年6月29日 8時) (レス) id: 2b07e8ae67 (このIDを非表示/違反報告)
なっぱ(プロフ) - 桜さん» 一生懸命伝えようとして下さってありがとうございます！凄く更新の力になりました！これからも亀ペースですがどんどん更新していくのでよろしくお願いします！ (2020年6月29日 8時) (レス) id: 2b07e8ae67 (このIDを非表示/違反報告)
あつ(プロフ) - 面白いです！！続き楽しみにしてます (2020年6月28日 23時) (レス) id: b0ab1c93e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なっぱ | 作成日時：2020年4月27日 20時
