13 ページ13
「あちーーー」
「樹、ボタン閉めろよ。Aちゃんがいるだろ」
「なに？もっと見たいって？」
「やめてください。セクハラです」
お昼の生徒会室にお兄ちゃん以外の5人と私が揃った。結局、ハナもお昼に予定があるなら教室で一緒にお弁当を食べる人なんて居なくて、居心地の悪さから生徒会室に逃げ込んできた。連日の暑さからネクタイを外してシャツの第二ボタンまで空けて、うちわで扇ぐ樹先輩を優吾先輩が注意していたところ。
「Aちゃん、弁当くーださい」
「お口に合わなかったらすぐ捨ててくださいね」
慎太郎先輩に黒のランチクロスで包んだお弁当を渡すと、他の4人が身を乗り出す。
「は？慎太郎に渡すの？」
「えー俺も食べたかったな」
「北斗が弁当要らないって言ったの？」
「これ北斗見たら怒るぞ〜」
「お兄ちゃんは、ハナのお弁当を食べるそうです」
私の一言でみんなが静かになった。私は気にせず自分のお弁当を食べる。でもなんかあんまり味しないかも。いつもより全然美味しくないや。慎太郎先輩に渡したお弁当、手をつける前に返してもらおうかな…なんて。違うことを考えようと思考をめぐらす。
「A、お前…」
「なんですか」
「目……」
泣いてないよ、樹先輩。でもなんだか今日は胸の辺りがずっと痛いの。今視界がぼやけてるのは、さっきまで生徒会室の本棚の整理をしていて、そのせいでホコリが空気中に舞っていて、それが目に入っただけで、それで、それで…
「おいで」
「っ……」
ジェシー先輩に抱き寄せられて、みんなから私の顔が見えないように筋肉質な腕に包まれる。私が息しやすいように背中をトントンしてくれるの、心地よくて好き。
あぁ、こういうところなんだろうな。最低なゲームをしてるこの人たちを嫌いになりきれないの。こうやって女の子たちを落としていくんだろうなって分かっているの、分かっているのに。全部全部分かっているのに。
この優しさは"お兄ちゃんの妹"だからってことも、さ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1988人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まゆみん(プロフ) - 血がつながらない設定ですか？ (3月17日 22時) (
レス) id: 66c22866d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - くみさん» 元気になったので作品執筆頑張ります🥰ありがとうございます！ (8月25日 5時) (レス) id: bfcb84f2df (このIDを非表示/違反報告)
くみ(プロフ) - 更新ありがとう御座います！お身体お大事にして下さいね‼️ (8月24日 14時) (レス) @page19 id: ac351487ee (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - くみさん» コメントありがとうございます🫶🏻温かいお言葉が身に染みます߹~߹♡更新が滞らないよう頑張ります！ (8月14日 15時) (レス) id: bfcb84f2df (このIDを非表示/違反報告)
くみ(プロフ) - 更新ありがとう御座います！展開がめちゃ気になります‼️素敵なお話読ませて頂きありがとう御座います😃 (8月13日 21時) (レス) @page12 id: ac351487ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふわり | 作成日時：2023年8月12日 22時
